Decision analysis for fracture management in cattle の冒頭、economics の後半。
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一般に牛生産者は、どんな骨折についても、それなりの成功率が示されても最も安い治療を選択しようとする。
牛が経済価値が高かったり、遺伝能力が高かったりすると、畜主は、しばしば、予後が悪いときでさえ経費がかかる治療を選択したがる。
場合によっては、これらの選択肢はその患畜が農場の”ペット”状態になっているがゆえに選択される。
多くの症例の中で、種雄牛は最も認められる価値が高いが、受精卵移植に用いられる可能性がある雌牛も同様かもしれない。
近年、クローン技術は子牛の遺伝的価値を非常に高め、そのことが、過去には提供されてこなかった獣医整形外科治療を要求するようになっている。
社会的な影響もまた牛の獣医治療の視点を変えるかもしれない。獣医師は、牛の市場価値にかかわらず整形外科的損傷を治療することを求められるかもしれない。
著者の経験では、以前は淘汰や安楽殺されていた牛の骨折治療に、自由裁量の経費が認められることも珍しくない。
また、牛の所有者は、人の失敗の結果として骨折をこうむった牛を、罪の意識や自分のミスを償う責任からしばしば治療しようとする。
このような例では、獣医外科医は、その動物の価値をはるかに大きく超える経費をかけても骨折を治すことを求められるかもしれない。
最終的に、獣医師は依頼主に、選択肢、経費、そして予想される結果について知らせる責任があり、畜主は、彼らのリスクと利益の分析に最も合致した選択をする。
獣医師は専門家として、骨折症例についての決定分析をするに当たって、しばしば”パーセンテージ”を用いる。
これらのパーセンテージは個人的かつ逸話的な経験、そして文献に基づいている。
残念ながら、牛の骨折治療では、特定の骨折や特定の治療技術に関するエヴィデンスーベースド・メディシンは欠落している。多くの研究において例数が相対的に少ないからだ。
また、文献は成功した結果の方へバイアスが掛かりがちであり、多くの症例で予後が過大に算出されがちである。
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牛の骨折治療の決断のうち、経済性についてたいへん納得のいく文章だ。
経済動物だから安く治して欲しい。
しかし、だいじな牛だからお金がかかっても治して欲しい、と言われることもある。
粉砕骨折だったり、開放骨折でさえも。
また、牛を可愛がっているから、多少、経済的に割りに合わなくても治してやりたい、という飼い主さんも居る。
これはおかしなことではない。
動物を上手に飼うには愛情が必要で、可愛いと思い、だいじにしないなら動物を飼うのは辞めた方が良い。
どうせうまくいかないから。
種雄牛が、とか、受精卵移植牛が、とかも書かれているが、何より日本の牛はたぶん世界で一番高い。(コロナの影響で価格は下がっているけど)
社会的影響 societal influences というなら獣医師の側にもある。
骨折した牛など治るにしても治療する気はない、というような産業には新たな獣医さんは来たがらない。
すべての獣医師は動物が好きで、動物を治すことに喜びを感じたくて、臨床獣医師になろうとするからだ。
獣医師は依頼主に選択肢を示す必要がある。それらの経費、手間、成功率、について知っておかなければならない。
しかし、新しく取り組もうとしているなら、自分の、成功率を示すことはできないし、文献の成功率は良い方へバイアスがかかっている。
誰も失敗例を報告したがらないからだ。
文献を読むときには、その背景まで推察しながら読んで、正しく情報分析する必要がある。
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きょうも蒸し暑かった。
臍ヘルニア手術創の化膿。非吸収糸を摘出。
当歳馬の球節内反のscrew抜去。
カケスの矯正手術。
当歳馬の長引く肩跛行。
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ブッドレア。
たくましく、暑苦しい花だ。