診療予定が入っていなかった日曜日。
朝、入院馬の治療を終えたころから湿った雪が降り出した。
午後には繁殖雌馬の尺骨骨折が来る、とのこと。
骨折線は開いてきていて、内固定しないといけないようだ。
午前中に、2歳馬の眼瞼裂傷も来る、とのこと。
雪が小降りになり、除雪を始めた。
午後に来る骨折馬は三肢歩行だろう。
除雪しておかないとひっくりかえりかねない。
除雪の途中で、眼瞼縫合の様子を観る。
瞼が敏感になっているようだ。
眼窩上孔のブロックでは効かず、浸潤麻酔で縫えるようになった。
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成馬の尺骨骨折は甘くみてはいけない。
当歳馬ではよく治るが、成馬では尺骨骨折の予後は当歳馬ほどよろしくない。
尺骨は薄い骨で、基本的にはプレートは尾側に載せるのだが、ナロープレートしか載らない。
ナロープレートは成人男子ならペンチやプライヤーで曲げれなくない。
しかし、尺骨を牽引している馬の上腕三頭筋はわれわれの腕より太いのだ。
ナロープレートはその強大な牽引力に耐えられないこととがある。
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尺骨骨折はいくつかのタイプに分けられる。
今回の症例は、TypeⅤなのだろうと思っていた。
尺骨頭部の骨折ではなく、尺骨体の骨折で、関節面から遠位へと骨折している、ようだった。
跛行がひどくなかったり、骨折線が開いてきていないなら保存療法でもよいかもしれないくらい。
私は尺骨骨折は尺骨頭側ほど悪い、と思っている。
大きな力が働くし、固定する長さがないし、尺骨頭が弱いからだ。
そして・・・・
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馬は三肢歩行で診療室へ入ってきた。
3日前からこうなったらしい。
1ヶ月前に競馬場から帰ってきて、初めて放牧して、他の馬と喧嘩したらしい。
DCP(Dynamic Compression Plate)でいけるだろう。
DCPは、プレートスクリューの角度に自由があるので、薄い尺骨をはみ出さないようにスクリューを入れやすい。
9孔のDCPを尺骨に載せてみる。
良さそうだ。でも、尺骨頭にあるこの線は何だ?
近位から2番目に5.5mmスクリューを入れて、遠位から2番目に4.5mmスクリューを入れて、コンプレッションをかけた。
骨折線は寄った。
しかし・・・・
尺骨頭の”線”は明瞭になった。
やはり骨折線なのだろう。
開いていた尺骨体の骨折線にコンプレッションをかけたことで、近位の骨折線が開いたのだ。
尺骨頭も粉砕しているのだ。
これは重篤で、やっかいだ・・・・・・
to be continued
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先日の牛の内固定の研修の際、新製品を見せてもらった。
新しいデザインのエイミングデヴァイス。
絞め具がねじ式になっていて、ガリガリと締められる。
これなら緩んだり、ずれたりしにくいだろう。
以前のは13万くらいだった。
今度のは30万くらいするらしい;笑・・・・・ってる場合じゃない;笑
このブログの右上に「エイミング」と入力して、「このブログ内で」を選択すると、
今までエイミングデヴァイスを使ってやった手術が検索できる。
上手に使えば、なかなか役に立つ器具なのよ。