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Channel: 馬医者残日録
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虹の橋からきた犬

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1年前、相棒のゴールデンを亡くした私は、amazonでこの本を見つけ、読んでみようと思った。

虹の橋からきた犬 (集英社文庫)   新堂 冬樹 集英社

あさはかだった。

           -

前半は、主人公のキャラについて行けず。

後半は犬が病におかされ、死に向かっていくのが辛くて、途切れ途切れにしか読めなかった。

この本のゴールデンは4歳でリンパ肉腫で亡くなるのだが、

私の相棒はそれよりは長生きしたな、とか

この本のゴールデンは抗腫瘍剤の副作用で衰弱して亡くなるので、

私は相棒に抗腫瘍剤治療を選択しなくて良かったな、が慰めになったくらいかな。

いや、それでも、愛犬を亡くす男の話は、同類の哀しさとして癒しになった。

           -

飼い主に先立った犬は、虹の橋のたもとで飼い主が来るのを待っていてくれるという。

その話は、また会える日が来ると思うことで希望になる。

そして、自分の死への恐れを和らげてくれる。

それもまた、犬が教えてくれる大切なこと。

           ー

相棒が逝ってから、そろそろ1年になる。

         //////////////

夕方、繁殖雌馬の疝痛。

結腸捻転だろう。PCV55。

口粘膜チアノーゼ。

厳しいですよ、と言ったのだが、わずかな可能性にかけて開腹手術した。

しかし、もう大結腸亜全摘してもダメな部位まで虚血性壊死が進行していた。

           ー

夜中、繁殖雌馬の疝痛の電話で起こされる。

来院したら、PCV60。

口粘膜チアノーゼ。

厳しいですよ、と言ったのだが、できるだけのことをして下さい、とオーナー。

開腹したら大結腸全体の色調はひどくはない。

骨盤曲切開部の粘膜も最悪ではない。

可能性はあるかも。

しかし、術後2時間ほど立てなかった。

           ー

朝、分娩後の繁殖雌馬がふるえて発汗し、横臥する、ので診て欲しい、との依頼。

来院したら、口粘膜重度チアノーゼと充血。

血液検査所見も悪い。極度のLeukopenia 白血球減少。

超音波検査で腹腔内に、エコーデンシティーが高い流動物が見えた。

わずかな可能性もない。消化管破裂だ。

           ー

分娩5日目の繁殖雌馬が、分娩後発熱が続いていて、今朝は腹水が超音波で見えた、との依頼。

来院したら、PCV上昇、WBC6000。

腹腔穿刺して、WBC5万の腹水が採れた。

腹膜炎は間違いない。

おそらく子宮穿孔だ。

開腹手術して、子宮角の穿孔を閉じ、腹腔を洗浄し、ドレインを留置した。

それで、昼過ぎ。

全部、一夜のことだ。

私は夜中から寝ないで働きつづけ;笑

             ー

去年、この季節に相棒に3日間ついていて、看取ってやれた。

奇跡のようなことだった。

 

        

 

 


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