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Channel: 馬医者残日録
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御崎馬の中足骨骨折のその後

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4/30に交通事故で、左中足骨を骨折した御崎馬

なんとも可哀想だと思っていたが・・・・

5/5にキャスト固定による治療が行われ、

6/13にはキャストの巻き直しとキャスト擦れの治療がされ、

7/6にはキャストが外されたそうだ。

治療に当たったのはNOSAI宮崎高度獣医療チーム。

治療は成功したようで良かった。素晴らしい。

           ー

このブログの読者の皆さんは、成馬の中足骨完全骨折がキャストで治るのか?!と思われるかもしれない。

私もサラブレッドの獣医師として、完全骨折の治療の難しさを何度も書いてきている。

ひとつには品種のちがいがある。

サラブレッドは大型で、気性が激しく、皮膚が薄い。

そのため、開放骨折(複雑骨折)になりやすく、蹄葉炎にもなりやすい。

御崎馬はサラブレッドに比べると小さく、痩せていて、体重が軽く、皮膚は厚い。

そのことで、蹄葉炎にもならず、キャスト擦れにも耐えられたのだろう。

私も、サラブレッド以外の馬の骨折が、キャストで治って驚いたことがある。

しかし、野生(野良?)馬だ。

ハンドリングされておらず、患者自身が治療に協力的でないだろう。

治療に当たられた獣医さんたちに敬意を表したい。

            ー

私はサラブレッドの長骨完全骨折をキャストで治そうとは思わないし、推奨しないが、

若い獣医さんや、馬関係者には、それはサラブレッドについてであって、

他の品種なら治癒の可能性はサラブレッドより高いことは知っておいてもらいたい。

そして、サラブレッドではやはりダメだろう。

2ヶ月キャスト固定していたら、

対側肢が蹄葉炎になる可能性が高いし、

患肢は屈腱と支持靱帯が弛緩してそれが致命的になるし、

キャスト擦れも重篤化する可能性がある。

そして、サラブレッド成馬では2ヶ月では完全な骨癒合は期待できない。

日本に7万数千頭いる馬のほとんどはサラブレッドだが、馬全体から見ればサラブレッドは特殊な品種なのだ。

            ー

ちなみに馬に車をぶつけた運転手も特定され書類送検された、とのこと。

ひき逃げ、と思いがちだが、事故の状況もわからないし、責めても仕方ないとも思う。

私も北海道でエゾシカをはねたこともあるが、申告なんてしないもの。

 

 

 


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