5歳の未経産馬が前日から疝痛。
次の朝には滾転したとのことで来院。
分娩予定まで4ヶ月。
血液検査所見も悪くはなく、超音波所見もはっきりした異常はないが、
直腸検査で、腕が入っていかない。小結腸に便が貯まり、捻れたような緊張も触る、とのこと。
異物による小結腸閉塞か?と思ったが、便しか触らない、とのこと。
開腹しましょう。
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小結腸のトラブルなので、正中の尾側よりを開ける。
妊娠子宮の下に便が詰まった小結腸がある。
浣腸してもらうが、直腸から小結腸の全長に詰まった便はとても浣腸だけでは出せない。
切開して内容を出さなければならない。
そして、異物がないか、捻転したり、どこかにヘルニア(入り込むこと)したり、何かで絞扼されていないか探らないと。
しかし、妊娠子宮の下になるので腕も入れにくい。
妊娠子宮は引っ張り出したわけではないが、少しずつ術創の外へ押し出されてくる。
胎仔のためにも早く終わらせたいが、時間がかかりそうだ。
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まず大結腸を右側へ引き出して骨盤曲切開する。
腹腔内で余裕を作りたいし、閉腹のためにも減圧しておきたい。
大結腸の内容は少なかった。さほど硬くはなかった。
右背側結腸から横結腸も空にし、小結腸へ水を送り込みたいが、そこまで空にできない。
何せ、妊娠子宮が邪魔。
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小結腸のループを切開して内容を捨てる。
そこからホースを入れて、吻側と反吻側の内容も洗い出す。
簡単にはいかない。
小結腸の便は本来ボール状だが、それが詰め込まれて、水も容易には入って行かない。
小結腸は腸紐があって、引き延ばしてもまっすぐならない。
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直腸まで便が詰まっている。
浣腸もしてもらって、便を軟化させる。
腹腔から出せない、目視することもできない部分なので、手触りで判断するしかないが異物はない。
狭窄したり、絞扼されたり、捻転している感触もない。
ただの便秘?
何の原因もなく、小結腸や直腸でひどい便秘をすることなどほとんどないのだけど・・・・
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小結腸から直腸をほとんど空にし、残っている便は軟らかく、異物がないことを確認して小結腸も縫って閉じた。
小結腸は腸間膜付着部の反対側の腸紐上を切開する。そして閉じるときは頑丈に縫わなければならない。
3時間がかりの手術になった。
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術後の輸液は必要ないが、入院してもらった。
翌朝、馬は伏臥していたが疝痛ではなさそう。
直腸に手を入れると、軟らかい便があった。
通常の1/4量の塩類下剤を投与した。
軟らかい便が出ている状態を維持してもらうように指示して退院。
この馬がなぜ直腸で詰まり、小結腸便秘を起こしたのか結局わからなかった。
とても珍しいことだ。
そして・・・・・
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大掃除はふだん掃除しないところを、高いところから。
エアコンのフィルター。
暖房ファンのフィルター。
思っていたよりきれい;笑
あのホコリ発生装置が懐かしく、愛おしい。