切開した方が良いという獣医師もいるし、切ってほしいと牧場に言われることもある。
しかし、切開する人は減ったように思う。
血液や漿液は抜けるが結局硬く腫れ上がり、ゴチゴチの硬い腫れて引くのに時間がかかったり、引かなかったりするからだ。
切るにしても切る時期が難しい。
ぶつけてすぐは皮下織に血液が含まれていて切ってもさほど廃液されない。
遅くなると、今さら切ってもどうかな・・・というか、袋状の組織ができていて廃液しても、切開創が閉じるとまた溜まってしまう。
腱鞘や関節とつながっていないことの確認も事前に必要だ。
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この馬の腕節の腫れは橈側手根伸腱の腱鞘とつながった袋ができているのが超音波画像検査で診断できていた。
それで、手術台上で仰向けにして袋状組織を摘出することにした。
滑液嚢腫として載っている本もあるが、私はこのような関節周囲の腫瘤物はガングリオンと呼んでよいと考えている。
この馬は皮膚は柔らかく、切開してから皮膚にできるだけ付けておくように異常組織からはがしていく。
皮膚を薄く剥がしてしまうと、あとで縫い付けるときに留め代がなくなってしまう。
遠位部は腱鞘そのものだった。
近位部は袋状組織の内側で、その遠位で腱鞘とつながっている。
袋状組織を丸ごと切除して、腱鞘の開いた孔は滑液が漏れないようにしっかり縫合する。
袋なのだが、けっこう分厚い。
あとは死腔がのこらないように傷を縫い縮め、皮膚を腕節に縫い付ける。
あとは圧迫包帯を巻いて、傷が治るのを待つ。
何ごともなかったようには治せない。
関節の上に、あのような結合織の袋状組織ができてしまっているからだ。
切開して廃液し、内側を搔爬してうまく袋じゃなくなったとしても結合織の塊は残る。
袋状組織ができてしまっている場合は摘出するしかないと私は思う。
ただし、跛行するわけではないので、見た目にこだわらないならそのままにしておいても構わないのかもしれない。
人のガングリオンもそうだ。
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きょうはこの地方もこの夏の最高気温。
腕なめてくれるのはいいんだけど、そうくっつくなよ。