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Channel: 馬医者残日録
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1歳馬の腓腹筋断裂

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日曜日、

40日齢黒毛子牛の臍の膿瘍。

牡子牛で、種牛候補なのだそうだ。

超音波で観ると、「膿瘍はひょうたん型で腹腔内にも広がっていたが、膀胱へはつながっていない」、ということで、

切開することになった。

雄牛はペニスの先が臍に近いので、臍が化膿するとやっかいだ。

                 ---

つづいて1歳馬の剖検。

馴致、調教をはじめたら後肢がおかしくなって、4日ほどの経過で立てなくなった、とのこと。

右飛節内側。

左飛節内側。

塊状に触るものがある。

皮膚を開いてみると一部筋膜が破れている。

その深いところは血腫になっているようだ。

腓腹筋の近位付着部が大腿骨から剥がれてしまっている。

病名としては腓腹筋断裂 rupture of gastrocnemius 、ということになる。

左肢も、程度はましだが同じ損傷だった。

                 -

腓腹筋断裂は新生子馬で診ることがある。

おそらく出生時に産道で無理な力がかかることで、腓腹筋が伸ばされて大腿骨から剥がれてしまうのだ。

日本ではほとんど助かっていないが、ケンタッキーでの報告では数週間の看護でかなりの率が助かっている。

飛節を引きあげられなくなって、飛節が落ちた肢勢になる。

飛節は屈曲してしまうので、飛節が曲がらないように伸ばした状態でRobert-Jones Bandage を巻くと良い。

しかし、新生子馬ならともかく、1歳馬ではそれを支えにするのは無理だろう。

まして両肢だと、寝起きもできない。

成書にも、発生は in foals and young horses. とある。

子馬だけでなく、もっとあとに起こることもあるわけだ。

                 ---

この日は、ほかに、

13歳の乗馬の去勢。さすがに玉でかい。

当歳馬の後膝のX線撮影。

              ///////////////

今朝、未明も余震があった。

先日、会議で苫小牧に泊まったが、ホテルでは海外からの観光客はほとんど見かけなかった。

観光業は大打撃だろう。

秋の観光シーズンにこんなに北海道が空いていることはない。

どうぞ北海道においでください。

 

 

 


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