3ヶ月前から股関節の細菌性関節炎を患っている当歳馬。
一時はかなり良くなっていたが、近頃は跛行が続き、寝起きも不自由だということで、股関節のX線撮影のために来院。
立位でポータブル撮影装置で撮ってみた。
なんとか、股関節臼と大腿骨頭は写るが、判然としない。
後肢を広げたり、屈曲させてやってみたいところだが、どうも後肢を広げ難いようだ。
全身麻酔して、仰臥でポータブル撮影装置で撮ってみた。
200kgほどの当歳馬なのだが、腹背V-Dだと散乱線がおおくて肝心の股関節周辺が曇ってしまう。
結局、リスホルムブレンデを入れて、大型X線撮影装置で撮ってみる。
股関節臼の形状がおかしい。
尾側が写らない。
もう数ヶ月にわたる病状だし、現在の症状を観ても、競走馬に成れるとは思えない。
あきらめて剖検することになった。
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右;悪くないほうの大腿骨頭。
正常な方の股関節臼。
患側の大腿骨頭。
丸くなく、ザラザラしていて、軟骨は薄く、もろく、不均一。溝もある。毛羽立っている部分もある。
刃物を当てると、容易に削れる。
患側の股関節臼。
尾側の関節縁にバケツの柄状に割れた痕?がある。
関節面の中央に溝がある。
軟骨は粗造で、薄く、不均一。
X線画像も、剖検での様子も、思ったよりひどくない、というのが印象。
しかし、症状はひどい。
細菌性関節炎も、離断性骨軟骨症も、骨嚢胞も、関節内の骨折も、最後はDJD変形性関節症との闘いになる。
そして、それは完勝はできない闘いになる。
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10月はじめ、20cmもないほどの赤ちゃんヘビが診療室に入ってきた。
しっぽを持って、外へ逃がしてやった。
お~っ、だいぶ大きくなったじゃないの。
君は股関節は要らないんだね。