Quantcast
Channel: 馬医者残日録
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1693

ひどい骨盤骨折ではない股関節の障害 1歳馬

$
0
0

1ヶ月半前に右後肢を負重できないほど傷めたが、徐々に良くなったという1歳馬。

もう調教していた馬だが、朝、馬房内で跛行しているのを見つけたそうだ。

後膝以下はすでにX線撮影されている。

後から臀筋を観ると、右がわずかに萎縮している。

「骨盤を撮りましょう」

              -

で、股関節臼の外尾側縁に骨折がみつかった。

股関節唇と呼ばれる組織ではないようだ。

左へ傾けて撮ると、腸骨、恥骨、坐骨のつながりの形状に大きな異常はないことがわかる。

跛行はかなり良くなってきているので、まだまだ大事にして安静を続けるように勧めた。

                                                      ー

後肢のかなりの履跛行が続いても、骨盤や股関節に問題がなければ臀筋の萎縮は(なかなか)起こらない。

骨盤や股関節の障害を疑うかどうか、診断上のポイントだ。

                   -

私たちが使っている大型X線撮影装置は、もう製造中止になる、とのこと。

今でさえ、股関節はこの程度の画像しか得られないので、いずれX線撮影による診断は厳しくなるかもしれない。

                   ーーー

日曜日、夜、繁殖雌馬の開腹手術で起こされる。

2日前から軽度の疝痛を示していた12歳の妊娠馬。

てっきり結腸捻転かと思って開腹したら、盲腸がひどく膨満していた。

盲腸便秘だ。

盲腸を体外へ出し、馬を左に傾けて、盲腸尖を切開して、ホースで水を入れながら排泄して盲腸を盲腸底まで空にした。

(これだけのことなのだが、経験が少なかった頃、盲腸便秘を汚さずにすることは難しかった)

内容には葉状条虫が含まれていた。

葉状条虫寄生で、盲腸の動きが悪くなって盲腸便秘になったのだと思う。

この初冬は、盲腸結腸重積が4頭(これも葉状条虫症だと考えている)、回盲部重積もあったのだったか?

それに盲腸便秘だ。

この春から夏は雨が異常に多かった。

葉状条虫を媒介するササラダニが増殖しやすかったのではないか。

プラジクワンテルが入った合剤(エクイバランゴールドorエクイマックス)で葉状条虫をしっかり駆虫した方が良い。

そうでないと、分娩近くの盲腸破裂も増えるだろうし、若馬の回盲部の重積もまだまだ起こるだろう。

講習会で話したんだけどな・・・・・・・

               ///////

新芽、花芽が準備されているモクレン。

春のために、備えましょ。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1693

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>