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Channel: 馬医者残日録
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3ヶ月齢黒毛の中足骨骨幹長斜骨折

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エアコン交換で手術室での手術予定を入れていなかった日。

DRを持って蹄葉炎の深屈腱切断手術に往診する予定だった。

そこへ、黒毛の子牛が中足骨遠位部を骨折している、との電話。

中足骨ならキャスト固定で治るだろう、と答える。

帰りに、その農家へ寄って、キャストが巻かれた肢をX線撮影してきた。

うまく巻けている。

巻いたあと、牛は寝起きし、患肢にも負重したようで、すこし変位している。

下巻きをせず患部には遊びがなく固定できているし、蹄先までしっかり覆われている。

         -

4日後、2回目のX線撮影をした画像が送られてきた。

少しずれていた。

そのままでも骨癒合するだろうと思う。

しかし、とがった骨折端が皮膚を突き破るかもしれない。

そうなると感染して骨癒合を妨げるかもしれない。

手術するとすれば・・・・・

整復して、穿刺切開でLag screw 2本で留めて、キャスト固定しておくという方法もある。

しかし、キャストの中でlag screw を入れた部分が割れるかもしれない。

どうせ手術するならより確実で、キャスト固定も必要ないプレート固定を選んだ方がよいだろう。

今まで何十頭か子牛のプレート固定をやってきたが、中手骨・中足骨をプレート固定したことはなかった。

基本的にはキャスト固定で治るし、キャスト固定で治る中手/足骨をプレート固定する必要はないと考えている。

(18ヶ月齢486kgのホルスタインの中足骨遠位成長板骨折をLCP固定したことはある。その体重になると、麻酔しないと整復できないし、キャスト固定だけだと固定強度に不安がある。)

          ー

やってきた子牛はこの状態。

キャストした肢で負重はできる。

鎮静うって、プロポうって、伏臥位で牛用喉頭鏡を使って気管挿管した。

吸入麻酔で維持する。

          ー

手術台でホイストで患肢を吊上げてこの状態。

5日経っているせいもあり、かなり牽引しても騎乗変位が戻らない。

どうせ手術するなら早い方が良かったのは確かだ・・・・

骨鉗子で皮膚の上から挟んで整復を試みる。

かなり時間をかけたが、完全に整復するのはあきらめた。

皮膚を切り開くことなくminimally invasive technique で手術したい。

感染リスクを大幅に減らせる。

今まで子馬では中手骨中足骨のプレート固定をやってきたが、double plates 固定した子馬は感染することが多かった。

皮膚の下には骨と腱や靱帯しかなく、血行が乏しくて非常に感染し易い部位なのだ。

          ー

骨鉗子をかけたまま、lag screwを入れた。

9孔のナローDCPを、皮下にトンネルを掘って差し込んだ。

1本目のプレートスクリューはlag techniqueで入れた。

あとはplate screw を入れていくだけ・・・・

だったのだが、screwが骨の中心へ向いていないミスがあり、入れ直したりした。

考えれば、牛の中手骨は馬の中手骨と断面の形状が違う。

馬は第三中手骨。牛は第三・四中手骨。

特にminimally invasive technique でやるならプレートの位置と角度は重要だ。

結局、変位が残ってしまった。

少し考えたが、術後はキャストしないことにした。

母牛や他の親子と一緒に飼われているし、またアクシデントのリスクもあるが、固定強度は大丈夫だろう。

         ///////////

イヌはよく寝る動物だ。

肉食獣は総じてよく寝るのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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