馬の伝染病の流行をテーマにしたミステリー小説が賞をもらって出版された。
もちろん興味があるので読んでみた。

舞台は、小淵沢。乗馬競技の中心地だ。
私は行ったことがないので、それも興味があった。
あとは、馬感染症の研究所。
それなりにリアリティーがあって、最初は真面目に読み始めた・・・・
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SFでもあるので、許されるのだろうが、ウィルス感染の同定や診断や臨床についてはかなり暴走。
例えば、新しい感染では抗体価ではすぐに感染を診断できない。
抗体価が上昇するには日数がかかる。
それは、コロナ禍で、今は多くの人が知っている。
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ミステリー小説だから仕方がないのかもしれないが、感染症流行の中で犯人捜し、感染源特定、責任糾弾になってしまうのはよろしくない。
誰もが被害者で、誰もが加害者になりうること。
だからこそ、責任追及ではなく、どうやって防疫に向けていくかを優先しなければならない。
それが、このコロナ禍で社会が学んでいることではないか。
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研究所や研究者が功名争いをしたり、
関係者が情報を金に換えたり、
個人名を勝手に発表したり、
内部情報を個人的に利用したり、
しまいにはくだらない劣情で・・・・
ヒロインや登場人物の行動に間違いが多過ぎ、安っぽい。
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こういう小説を読ませるかどうかで重要なのは、物語を貫く哲学とか価値観ではないかと思う。
もちろんそれは作者のそれを反映するのだろうし、
登場人物の行動やセリフに現れる。
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登場人物の一人は農業共済出身の獣医師ということになっているのだが、「農業共済」は架空の組織や団体ではないし、
そもそも、そんな人物の経歴を表示する必要があったのか疑問。
ケンカ売ってんの?;笑
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まあ、舞台が興味あったので、楽しく読めた。
この小説のどこがSFでどこまでが現代のウィルス学で正しいか、考えたり調べながら読めば獣医さんや獣医科学生さんの勉強になるかも。
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アジサイが咲き始めた。