世界的に馬の回虫症(回虫による腸閉塞)がどれくらいあるか?
Equine Acute Abdomen 3rd ed. の記載を参考にすると、
この寄生虫が世界中に分布しているのにもかかわらず、回虫閉塞は比較的まれな疝痛の原因であり、
あるひとつの二次診療施設に来院する疝痛の0.5%であり、1歳未満の馬で行われた疝痛手術の0.4%であった。
(Cribb et al. 2006)
もとになっているのは、Newzeland Veterinary Journal 54, 338-343 (2006) に掲載された論文。
家畜高度医療センターには年間200頭ほどの疝痛馬が来院する。
そのうち回虫症は、5頭ほどだろう(ことしはもっと多いかもしれない!!)
来院する疝痛の2.5%ということになる。
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家畜高度医療センターでは年に120頭ほどの腸管手術を行っている。
1歳未満の腸管手術は・・・30-40頭ほどではないだろうか。
そのうち5~10頭だと、10~30%ということになる。
この地域はとんでもなく回虫症が多いのだ。
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回虫による腸閉塞が起こるのは、72-80%が駆虫をして24時間以内の個体だとされている。
多数の回虫が寄生している子馬を駆虫(特にピランテル;ソルビーシロップで)すると麻痺して死んだ回虫が小腸に詰まるのだ。
しかし、ソルビーシロップは販売中止になって久しいし、イベルメクチン(エクイバラン、エクイマックスの成分)は馬回虫には効かなくなっているせいもあり、
家畜高度医療センターへ来院する回虫による疝痛の近年の症例は、駆虫後ではなく、回虫が多く寄生し、蠕動がおかしくなるせいで小腸重積を起こしている症例が多い。
回虫の対策が何もされておらず、野放しになっている。
死んだ回虫が詰まっている小腸閉塞の開腹手術もやっかいだが、生きた回虫がわんさかいる腸管手術もやっかいだ。
回虫症の予後はけっして良いとは言えない。
どうしてなのか、もう少し考えてみたい。
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日曜日、午前中、2歳馬の球節の関節鏡手術。
午後、当歳馬の肢軸異常のscrew 抜去。
そのあと、2歳馬の左右腕節の骨折の関節鏡手術。
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相棒の骨を少し分けて、
ペンダントに入れて車にぶらさげた。
車に乗るのが大好きだったからね。
助手席に乗って、
私に触ってもらいながら、
前を見ていた。