さて、長々とcritical reading し、紹介し、反論してきたインターロッキングネイルで子牛の脛骨骨折を治療した2症例報告。
考察の部分にも、どうしてプレート固定しなかったか、書かれている。
その内容は、手術の方法の検討のところで書かれている内容と重なっている。
学術報告ではこういう重複は嫌うのだけど;笑
この症例報告は、2症例について書いているのだけどなんと10pに及ぶ大論文になっている。
私がレフリーなら、重複を避けて短くしろ、と指摘する。
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しかし、こういう症例報告と考察が載ってしまうVeterinary Surgery 誌の姿勢がうらやましくもある。
日本の獣医学術誌の臨床への理解や敬意のなさには何度も腹を立ててきたから。
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学術誌もオンラインジャーナル化されつつある。
紙面、や枚数を制限する必要は少なくなるのではないだろうか。
それなら、例えば整形外科の症例なら紙面であった以上に画像を読者が見られるようにしてもらいたい。
臨床家は報告された症例からより深く学べるだろう。
表だって、紙面に載らないような大きなものも読者が入手できるようにして、なんなら読者が統計解析しなおせるようにすれば誤魔化しもできなくなるだろう。
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さて、近年の学術報告には、Conflict of Interest を書き加えることになっている。
利益相反、利害関係、だ。
著者3名のうち一人(責任著者、連絡先)は、インターロッキングネイルの開発者であり、それ故に、Michigan State University からroyalties を受け、BioMedtrixから teaching honorarium を受けている。
なんと!
プレート固定はDCPもLCPも適応ではなく、インターロッキングネイルしか選択はなく、うまくいったんだ。と繰り返し主張しているが、
著者はインターロッキングネイルの開発者で、製造・販売元から?大学を通して?royalties 特許権?印税?いずれにしても資金を受け、teaching honorarium 教育上の謝礼も受け取っている。
小動物獣医師向けにインターロッキングネイルの講習会や実習を担当し、謝礼をもらっている、ということだろう。
なるほど、そういうことか。
そのことが、この症例報告の価値を下げているとは思わない。
純粋に、この症例報告が主張している手術方法の選択についての考えに私は同意できない、ということだ。
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1月にしては記録的に暖かかった。
地面は融け、水溜りができ、小雨が降った。
落雪の事故が起き、山では雪崩でスキー客が死んだ。
日高はこの冬は記録的に雪が少ない。
あまり寒いと辛いが、冬は冬らしいのが良いのかもしれない。