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Channel: 馬医者残日録
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2歳馬の第一趾骨縦骨折 危ない骨折の発症日ope

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2歳馬が調教中に第一趾骨を骨折した、と午前中に連絡。

今はスマホに画像が送られてくるので話が早い。

「ひどいね。こりゃ今日やった方が好い」

午後予定されていたのは、一度延期してもらった手術だが、また延期してもらうしかない。

器具を滅菌しておいて午後いちでやることにする。

X線透視装置が復活しているのはありがたい。

滑り孔(手前側の4.5mmドリルでの穿孔)が骨折線に到達していることの確認のための撮影。

まだ骨折線はほぼ全長にわたって見えていることにも注意。

近位背側よりにscrew をlag technique で入れたら骨折線はかなり圧迫されて、X線画像でもかなり見えなくなった。

2本目を底側へ入れるためのドリリングをしているところ。

(ドリリングをしていたら、ヌルヌルした液が出てきたので、怪しんでX線撮影した)

ドリルの位置も方向も問題ない。

骨折”線”へ関節腔から滑液が流れ出ているのだ。

この馬は遠位部でもドリル孔から関節液が出てきた。

亀裂なんていうものじゃない。

危ない骨折なのだ。

screwは5本入れた。

遠位の斜めの骨折線を圧迫するために、最遠位のscrewは遠位へ向けて入れた。

これだけコントラストを強く、光度を落とした画像にしても骨折線は見えなくなった。

骨折線の中には出血し、その血餅が固まる。

線維芽細胞が遊走してきて骨折線を埋め、骨折線内に肉芽組織を造り、骨折を二期癒合させる機序が始まる。

発症から時間が経てば、screw で圧迫しても骨折線は見えなくならない。本当の一期癒合にはならない。

発症日にopeする意味はそこにある。

half limb cast を巻いて、吊起帯を着けて覚醒させた。

第一趾骨骨折なので、half limb cast は良く効く。

原則どおり骨折部の遠位と近位の関節が固定されているからね。

中足骨内顆からの骨折線が延びているとそうはいかないので、寝起きさせない管理が必要かもしれない。

この馬は寝起きさせても大丈夫だろうと判断した。

half limb cast は3-4週間巻いておきたい。

            ////////////

肌寒さを感じる時間ができてきた。

冬の準備もしないと、かな。

 

 


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