下顎や上顎の切歯をひっかけて、めくれてしまうことがある。
育成馬に多い。
病傷名としては「切歯骨骨折」としているが、
「歯がめくれただけじゃない」
とおっしゃる方も居るかもしれない。
しかし、馬の切歯は歯槽に刺さり込んで支えられているので、切歯骨も割れている。
骨折事故でもあるわけだ。
もちろん生え替わり時期の乳歯はそうではない。
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これは4歳馬。
上顎下顎のそれぞれ中央2本だけが永久歯。
手入れされるとき、何かを囓って遊んでいたらしい。
そして・・・一瞬で折れた、とのこと。
何か、が歯にひっかかり、驚いて頭を挙げて、折れたのだ。
左下顎の乳歯だけが残り、他の切歯と切歯が入っている歯槽が変位してしまっている。
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傷の中を洗って、
変位を整復して、
結束バンド5本で止め、さらにダブルにしたワイヤーで止めた。
小さいが犬歯があったのが幸いした。
キルシュナー鋼線を刺し込んで補強しようとしたが、永久歯に当たってダメだった。
今回の補強でダメなら、臼歯からワイヤーを伸ばして切歯全体を支える方法もあるが・・・・
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北西から南東へ続く長大な海岸線を持つこの地域。
夕陽の名所だと思っている。
夕方の手術がちょっと長引いた。
さあ、帰ろう。