私は2003年から牛の骨折のプレート固定手術を始めた。
馬の骨折をなんとかできないか、と本を読み、器材を揃え、少しずつ症例に対応してきたのを牛にも応用できると考えたからだ。
馬では治せるかもしれない、というのが現状だが、
子牛だと、1例も失敗せずに治してこれた。
2016年までは。
しかし、牛の骨折治療では、経済性との葛藤がつきまとう。
少しでも長いプレートを使うのがセオリーだが、使うscrew 1本にもコストがかかる。
ダブルプレートすればインプラント(プレートとスクリュー)代はほとんど倍になる。
LCP/LHSを使いたい症例でも、DCPの3倍以上の値段を考えると躊躇してしまう。
それでも、子牛の骨折ならこの程度のプレート固定で治る、という経験を重ねてきた。
2016年に1例失敗して、手技を考え直した。
2020年まで、脛骨、橈骨、上腕骨をプレート固定し治してきた。
その経験は広く日本の牛臨床獣医師に知ってもらい、
プレート固定の技術が普及すれば、今まで治せないとあきらめられていた子牛の骨折も治せるようになる、
と考えて、日本語で症例報告を書いた。
日本獣医師会雑誌へ投稿したが、悪戦苦闘した。
和文・英文併せて20編以上の症例報告や研究論文を書いてきたが、こんなに時間がかかったことはない。
タイトルさえ自分の思い通りにならなかったが、まあそれでも形になった。
多くの方に読んでいただきたい。
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論文を書くというのはガーデニングと共通する部分があるかも
土づくりをし、苗を植え、水をやり、肥料をあたえ、日の恵みを受け、
大きく育った枝を剪定し、
それでやっと花が咲く
見てもらわないと意味がない