繁殖牝馬が放牧地で鼻出血し、かなりの血だまりができていた、そうだ。
喉嚢内視鏡検査で、内頚動脈に病巣が確認できました、とのこと。
それは手術適応だし、手術しないとかなりの確率で出血死するが・・・・うちの予定も混んでいる。
中1日で予定を入れる。
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来院してもう一度喉嚢内視鏡検査したら右喉嚢には血液がいっぱいで十分な観察不能。
最初の出血の後も少しずつ出血したのかもしれない。
中隔上にも病巣が見つかった。
中隔は内頚動脈支配域ではないらしい。
しかし、内頚動脈の結紮とマイクロコイル塞栓術で良いだろう。
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マイクロコイルを仕込んだカテーテルを内頚動脈に送り込んで、確認のためのX線撮影。
カテーテル内のワイヤーとその先のマイクロコイルが写っている。
正しく内頚動脈に入っているので、茎状舌骨の背側、喉嚢天井側へ向かっている。
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マイクロコイルをカテーテルから押し出して、再Xray。
マイクロコイル 4 - 2 mm はきれいに丸まった。
これ。
カテーテルは13cm入れたところでも抵抗がなかったし、
マイクロコイルは完全に丸まっているので、
破裂部から喉嚢内に押し出されてしまっている可能性も否定できないが、
内頚動脈切開部からは出血があったのだし、術中に新たな喉嚢出血はないようだったので大丈夫だろうと判断した。
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カテーテルとマイクロコイルの操作は、教えながら若い先生にやってもらった。
私はこの手術をたぶん世界で指折りの頭数やってきた。
経験と技術を伝え残すことが、今の私が一番やるべきこと。
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この馬、麻酔覚醒がひどく悪かった。
自分が立てなかったことに興奮して、壁に突っ込み暴れ回る危ない覚醒だった。
手術前、貧血気味だったことも影響したかもしれない。
でも、この手術を立位でやろうとは思わない。
枠場に立たせて痛いことをするのも、暴れ出せば危険がある。
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かわり葉ヤマボウシ
この葉色は爽やかで涼しげ。
”花”色はこんななので目立たない。