朝、子馬の開腹手術で呼び出される。
空腸上部の腸間膜を軸にした捻転。
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そのあと、繁殖雌馬の結腸捻転。
来院したら立っていられない。
PCV55%、乳酸値10mmol/l。
腹囲はひどい膨満。
急いで開腹し、大結腸に輸液管を刺してガスを抜く。
結腸はひどいチアノーゼで、ダメかと思ったが、なんとか最後まで手術してcolopexyもする。
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馬回虫にイベルメクチンが効かなくなっているので、子馬の駆虫をどうするかは難しい。
私なら・・・・・・
・生後30日齢でイベルメクチン単剤(エクイバラン、エラクエル)で駆虫する。
いままで生後45日齢で動脈に血栓ができて死んだ子馬を診たことがある。円虫は成虫になってから悪さをするわけではない。動脈に寄生する仔虫が怖いのだ。成虫になって産卵し、虫卵が検出できるようになってからでは遅い。
生後早い時期の子馬を虫卵検査することは少ないが、乳頭糞線虫が寄生していることが知られている。大きな害はないようだが、体内移行している線虫も駆虫できることを期待する。
・生後60日齢でフルベンダゾール(フルモキサール)で駆虫する。
馬回虫を駆虫したい。もうイベルメクチンは馬回虫には効かないと思わなければならない。生後数ヶ月までの子馬にとって、いちばん怖いのは馬回虫が爆発的に増えることかもしれない。死んだ虫が出てくるか、便を良く見て、虫が出た子馬を記録しておく。
・生後90日齢でピランテル(ソルビー)で駆虫する。
ソルビーは腸内に居る馬回虫を一気に殺すので、馬回虫がたくさん寄生しているときには死んだ回虫が腸に詰まるので危険。しかし、60日齢できちんと駆虫していれば大丈夫だろう。
60日齢と90日齢のフルモキサールとソルビーは順序を入れ替えても良いかもしれない。
・120日齢でイベルメクチンとプラジクワンテルの合剤(エクイバランゴールド・エクイマックス)で駆虫する。
9月、10月頃には葉状条虫が回盲部に寄生して回盲部重積を起こすことがある。当歳馬も秋には葉状条虫の駆虫をした方が良い。
円虫に対しては体内移行中の仔虫も殺せるので、イベルメクチンの優位性は変わらない。
・分娩前後に母馬の駆虫をしておく。
子馬は母馬の便を食べる。母馬を駆虫しておくことは子馬を守ることにつながる。
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寄生虫が関係した疝痛馬を手術したり、解剖すると、牧場には寄生虫の害と駆虫方法について説明するのだけれど・・・・・
無視されるのは、説明が理解されていないのか、信用されていないのか、うっかり忘れてしまうのか、何なんだろう??
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犬を飼っている人なら、「こいつが口を聞けたらいいのに」と思うことがあるだろう。
何を考えているか知りたいと思うこともある。
人の顔をじっと見つめる犬を見返していると、人の気持ちがかなりわかっているんじゃないかと思うこともある。
ひょっとするとゴールデン・レトリーヴァーは人にそう思わせることが多い犬種なのかもしれない。
ミステリーやサスペンスのたぐいは読まないことにしているのだが、USAのベストセラー作家のこの人気小説は主人公がゴールデンなので読んでみた。
とても面白かった。
もちろんハラハラドキドキもあるのだが、ゴールデンとの心の通わせ方が興味深い。
ふつうの犬ではなく、現実ではありえないスーパードッグなのだが、
その中に、ふつうのゴールデンが見せがちなしぐさや表情が含まれているのだ。

