桑の実が成る頃
昨夜は私は夜間当番。 術後イレウスの子馬が入院していて、PM9に様子を観て、輸液を足す。 大丈夫かな・・・と思ったが甘かった。 PM11に痛み出して呼ばれ、鎮痛剤を投与し、胃カテーテルを入れて胃液を抜く。 朝はAM5に採血して血液検査。 胃カテも入れるがほとんど逆流なし。 が、簡単な状態ではない。 - その朝の診療準備中に電話相談。...
View Article蝦夷梅雨の1日
きょうは、午前中は装蹄師の卵さんたちが見学研修。 ざっと、生産地の馬の診療や、蹄の問題や、蹄管理について日頃生産地の獣医師として考えていることを話させていただいた。 午後は、club footの子馬の跛行診断。 1歳馬の腰痿のx線撮影。 1歳馬の腕節の腫脹のx線撮影と超音波診断。 - 夕方、繁殖雌馬の疝痛の来院。...
View Article子馬の駆虫をどうするか?
朝、子馬の開腹手術で呼び出される。 空腸上部の腸間膜を軸にした捻転。 - そのあと、繁殖雌馬の結腸捻転。 来院したら立っていられない。 PCV55%、乳酸値10mmol/l。 腹囲はひどい膨満。 急いで開腹し、大結腸に輸液管を刺してガスを抜く。 結腸はひどいチアノーゼで、ダメかと思ったが、なんとか最後まで手術してcolopexyもする。...
View Article腕節のガングリオンganglion
1歳馬の腕節が腫れてしまった。 もう1ヶ月以上になるがひかない。 超音波検査で橈側手根伸筋の腱鞘と交通した袋状組織ができているのが確認できた。 それで、今日はその袋状組織の摘出手術。 - 私は「ガングリオン」ということで良いのではないかと思う。 私の右手小指の遠位指節間関節と交通したガングリオンも治ったことだし;笑。...
View Article特定動物「馬」講習2015
例年呼んでいただいている特定動物の診療の講習会へ行って講師を勤めてきた。 全国のNOSAIの経験5年未満の獣医さん達が参加者で16名だった。 手を挙げてもらうと、診療区に馬が居て、診る可能性がある人は4-5名。 乗馬経験がある人は1-2名。 それで、あまり細かい話をしても仕方がないので、大雑把に「馬はこうですけど、牛はどうしてますか?」みたいな話にした。...
View Article近位指節間関節亜脱臼の関節固定手術
競馬を終えて、繁殖供用をはじめて受胎している雌馬が跛行するようになった。 その前肢はこんな感じ。 競馬で繋部の靭帯や腱付着部を傷めていて、それがひどくなってきたらしい。 x線画像ではこんな感じ。 近位指節間関節は亜脱臼している。 おそらく基節骨(第一指骨)の遠位掌側に付着している種子骨直靭帯などを傷めて、繋を牽引できなくなったので繋が前へ突出してしまうのだろう。...
View Article障害飛越競技馬の第一指骨骨折
障害飛越競技に出た馬が第10障害を飛んだあと跛行し、しかし第12障害まで飛んでゴールした、とのこと。 跛行はかなりひどかったが、骨折しているとは思わなかった。 けど2日後、X線撮影してもらったら第一指骨が縦骨折していた。 という経過で手術することになった。 単純な縦骨折ではない。 どうやら背側(前側)の骨折線は途中から外側へ急に角度を変えている。 背外-掌内方向で撮影しても骨折線がはっきり見える。...
View Article腕節のガングリオンの摘出手術
昔から腕節の血腫への対応は意見が分かれるところだ。 切開した方が良いという獣医師もいるし、切ってほしいと牧場に言われることもある。 しかし、切開する人は減ったように思う。 血液や漿液は抜けるが結局硬く腫れ上がり、ゴチゴチの硬い腫れて引くのに時間がかかったり、引かなかったりするからだ。 切るにしても切る時期が難しい。 ぶつけてすぐは皮下織に血液が含まれていて切ってもさほど廃液されない。...
View Article腕節の血腫からのガングリオン
この時期、1歳馬はセリや、あるいは庭先取引される。 すでに売れている馬も引渡しの日が近づいている。 それでこの季節に怪我をしてしまったりすると困ったことになる。 腕節を打撲したらしく腫れてしまった1歳。 徐々に腫れてきたとのこと。 で、1ヶ月経っても治らない。 -...
View Article結腸捻転の結腸の状態のいろいろ
夏の朝。 出勤したら当番チームが開腹手術中。 繁殖雌馬の結腸捻転だが、結腸の色調はさほど悪くない。 夜中にも結腸捻転が来て、その馬は結腸の虚血性損傷はかなりひどかった、とのこと。 - しかし、この馬は骨盤曲切開部の粘膜の色調、浮腫、出血具合も悪くない。 結腸動脈沿いにはかなり水腫はある。 しかし、これくらいの結腸の状態なら良好な経過と予後が期待できる。...
View Article夏の夜、眠れたらそれは幸運
夏の土曜の朝。 出勤したら当番チームが結腸捻転の手術中。 まるでデジャヴのような記事でゴメン;笑。 前夜に来た疝痛馬は来たら落ち着いていて帰れたとのこと。 手術されている馬は、前夜も痛かったが、朝までかなり痛がっていたようすで早朝連れて来られた。 あちこち傷だらけだ。 - 朝一の予定は延期してもらった。...
View Article鼠径ヘルニアと思ったら・・陰嚢水腫?
子馬のタマタマが腫れてしまった。 新生子馬のとき鼠径ヘルニアだと思っていて、そのうちひいたようだったが、この1-2週間でまた腫れた、とのこと。 あまりしげしげと触られせてくれる場所ではない。 子馬と言ってももう200kg近くあって蹴られたら無事ではすまない。 - いずれにしても外科的になんとかしなければならない。...
View Article夏休み明けの1日は整形外科三昧と開腹手術
3日間休んで、天気が不安定だったのでどこへも行かず、のんびりした。 リフレッシュというより、回復休みだったのだけれど・・・・ - 休み明け、予定を変えて2歳馬の第一指骨縦骨折のスクリュー固定。 発症翌日だが、とても痛い。 キムジースプリントでしっかり固定して来院したが、ほとんど負重できない。...
View Article捻転去勢棒試用
3歳競走馬、去勢を依頼された。 ただし、片側が陰睾のようだということで手術室で吸入麻酔を始めた。 鼠径部を触ると発育が少し悪い精巣があった。 鼠径部を切開し、精巣を引張り出して精索を結紮して切除。 さて、反対側はふつうの去勢方法で良いのだが、捻転式去勢でやった方が術後の腫れが少ないだろう。 それで、使ってみました豆作式捻転去勢棒! 3歳としてはふつうの大きさの精巣。...
View Article捻転去勢棒試用2
きのうは、 1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。 午後は、2歳馬の去勢。 当歳馬の球節の肢軸異常の矯正手術と蹄処置。 - その2歳馬の去勢で捻転式去勢棒を使ってみた。 静脈麻酔で仰臥にして、陰嚢の正中を1ヶ所、精巣の短径だけ皮膚切開する。 皮下織を掘るように剥がし、精巣を総鞘膜ごとつかみ出し、さらに皮下織を押し下げて精巣を引き出す。...
View Article子牛の陰睾
5ヶ月齢の短角牛。 陰睾のようだということで、全身麻酔して手術室で去勢することになった。 放しっぱなしの育て方なので、半野生とのこと、つないだままキシラジン投与して、鼻環を着ける。 キシラジンで浅く麻酔して、伏臥にして気管挿管。 牛の気管挿管は馬より難しい。 (というか馬ほど気管挿管がたやすい動物はない。大量の空気を吸い易いようにできているのだろう。) 手術中はプロポフォールで麻酔。...
View Article橈骨骨幹部横骨折完治
橈骨横骨折発症と内固定手術から4ヶ月あまり。 ほぼ完全に骨癒合した。 競走馬にしたい子馬なので、プレートは抜かなければならない。 それと、橈骨と尺骨が癒合したことで、尺骨の成長が遅れ、肘関節にギャップができている。 またminimally invasive でやる。 穿刺切開でスクリューを抜いて、LCPは遠位部の穿刺切開を広げて、引き抜く。...
View Article高波の日曜の夜の結腸捻転馬は腸間膜の奇形だった
きょうからサマーセールで診療は閑。 きのう日曜日も診療予定ははいっていなかった。 夜になって繁殖雌馬の結腸捻転。 結腸の損傷は中程度。 右背側結腸の内容がひどく多くて、結腸全体を創外へ引き出せない。 先に骨盤曲を切開し、少しずつ胃状膨大部の内容を送り出して、前回りの捻転を整復しながら結腸を引き出した。 - この馬、結腸骨盤曲近くの腸間膜が広すぎる。...
View Article第一指骨はワイングラス
2歳馬の第一指骨の縦骨折。 発症翌日もかなり痛い。 第一指骨をワイングラスにたとえる馬外科医もいる。 上と下が幅広く、中央でくびれたその形状と、もろさ、弱さからだろう。 USAでは骨折の評価にCTが使われるようになり、第一指骨が思いもよらない方向に割れやすいことがわかってきている。 だから、「あ~縦骨折か」と安心しないほうが良い。...
View Article動物園の事故
札幌の民間動物園からペリカンが逃げ出して、胆振地方に現れたそうだ。 捕獲を試みるようだが、なかなか難しいだろう。 札幌円山動物園ではマレーグマが事故で死に、業務改善命令を受けたと思ったら、今度はシマウマが輸送のストレスでショック死したという。 動物園に落ち度があったのか、避けられない事故だったのかは知る由もないが、大動物獣医師としては動物を扱う難しさは多少なりとも理解している。...
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