飛節。
ヒトで言うと足首。足根関節。
馬の足根関節はごくまれに亜脱臼してしまうことがある。
LCPで5例の内固定を行ったという報告がVeterinary Surgeryに出ている。
スイス・チューリッヒ大学からの報告。
あのAuer先生の教え子達なのだろう。
Locking Compression Plate Fixation of Equine Tarsal Subluxations
馬の足根亜脱臼のLCP固定
Veterinary Surgery 44 (2015) 949-956
目的: 馬の足根亜脱臼の臨床所見とLCP固定の結果を報告すること。
研究のデザイン: 回顧的症例調査
動物: 馬(n=3)とポニー(2)。
方法: すべての馬とポニーはわれわれの施設で2011年から2013年の間に足根亜脱臼と診断され、LCP固定で治療された。
データは診療記録から集められ、全てのx線画像、CT所見を検証した。
長期の(1年以上の)追跡調査は、畜主への問い合わせ、そして臨床検査とx線画像検査をすべての症例で行った。
結果: 足根中足亜関節(n=3)と近位足根関節(2)の亜脱臼が診断された。
CT検査により複雑な関節の損傷、すなわち亜脱臼に伴う複数の引きちぎられた骨片と関節の逆側の圧迫損傷が描出された。
LCPは肢の底外側か内側に適応された。
全ての馬は生存し、退院した。
短期間での併発症は中程度の蹄葉炎(n=1)と第三腓骨筋断裂(2)であった。
長期の追跡では、2頭のポニーは健常で本来の目的どおり飼養されていた。
一方全ての馬は速歩では軽度から中程度の跛行を示し、遊びでの騎乗だけに使用されていた。
骨関節炎のx線画像所見が全例の亜脱臼した関節に起こり、2頭の馬と1頭のポニーでは隣接する小足根関節にも起こっていた。
結論: 足根亜脱臼のLCP固定は堅固な固定ができ、順調な治癒に導く。
小足根関節の亜脱臼は複雑な損傷であることを示しており、損傷を受けた関節と隣接する関節に骨関節炎を引き起こす。
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Tarsal luxations and subluxations are uncommon ・・・・
足根脱臼と亜脱臼は珍しい・・・
で始まるこの症例報告。
私も飛節下での脱臼や亜脱臼の症例はほとんど遭遇した記憶がない。
骨折を伴い、飛節下でブラブラになっていた種雄馬が連れて来られたことはある。
あとは・・・・牧場で安楽殺されてくるので診ていないのかもしれない。
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ケンタッキーで有名種牡馬ヌレイエフがこのタイプの亜脱臼を起こした。
スクリューであまり強固とは言えない固定をしたが、術後もかなり危ない状態が続いた。
その頃、大きな手術ができるケンタッキーで唯一の馬病院の中にヌレイエフ専用の入院馬房が作られた。
そして、長い治療の成果で、ヌレイエフは種雄馬として復活した。
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その後、このタイプの脱臼・亜脱臼はプレート固定されるようになり症例報告もいくつか出ている。
近年ではLCPが固定に使えるようになり、「全例が生存したぞ」というのがこの報告。
できるように準備しておかなければならない。
いつか症例は突然あらわれる。
それから勉強して練習していたのではうまくやれるはずがない。
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今年の手術はじめは、Tieback、Cordectomy & AryEpiglottic Fold Resection。
きのうは、競走馬の腕節関節鏡手術。
すでに後膝Subchondral Bone Cyst のトリアムシノロン病巣内注入が2頭。
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12歳のラブラドールレトリーヴァー。
足コシがおぼつかなくなっていて、それでもヨイショとソファに上ってきて、
お客が気になるんだけど、あんまり構われたくなくて・・・
ホント好いおばあちゃんだった。