夕方から疝痛の馬を診ていたが、だんだんひどくなった。とのことで夜に来院。
トラックの中で暴れて、馬栓棒をくぐってしまったらしい。
降ろしてきたら、右後肢のひどい跛行。
大腿部が腫れていて、動きもおかしい。
骨折してしまったか?
しかし、疝痛もひどく、立っていられない。
血液検査所見もひどく悪い。PCV59%、乳酸値12.9mmol/l。
-
結腸捻転の手術も急がなければならないが、骨折していたら意味がないし・・・・・
暴れるので落ち着いて触診もできない。
危ないので、全身麻酔してからx線撮影した。
もっと近位、大腿骨頭に近いところはポータブル撮影装置では写せない。
そのまま、気管挿管して手術台で吸入麻酔を始め、開腹手術することにした。
しかし、右後肢の開き方がおかしい。
内股も腫れている・・・・
超音波装置を持ってきて診るが、骨の連続性は崩れていない。
-
結腸捻転としてもひどかったので、colopexyまで含めて2時間あまりの手術になった。
肢を傷めているのは間違いないので、吊起帯を着けて、5人がかりで待期して起立介助する。
すでに日付は変わっていた。
が、立とうとはしたものの2時間経っても立てない。
右後肢の曲がり方はおかしい。
「あきらめましょう」
安楽殺して、剖検したら大腿骨は粉砕骨折していた。
手術前のX線撮影時には写せた部分は大きな骨折はしていなかった。
おそらく、近位部で折れ、骨幹や遠位部は亀裂骨折だったのだ。それが、麻酔覚醒時に完全に粉砕したのだろう。
「徒労」に終わったが、最善を尽くした、と自分を慰めるしかない。
////////////