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Channel: 馬医者残日録
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奇妙な空腸破裂

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繁殖雌馬が放牧地で死んでいた。顔を擦りむいたりなどの疝痛をしていた形跡はない。可視粘膜はチアノーゼ。

という稟告で、夕方に剖検した。

突然死で、チアノーゼが出ているとなると、心臓突然死だろう、と予測していた。

しかし、汚濁腹水があり、消化管内容が腹腔にあった。

どこかが破裂しているはず・・・・と探すと、空腸が長く縦に裂けていた。

空腸の一番近位部であり、腸間膜を軸にねじれた様にはなっていたが、腸捻転のような腸管自体のチアノーゼはない。

縦筋層が裂けて、粘膜だけが残っているが、一箇所は粘膜も穴が開いてしまっていた。

内容が抜ける前は膨満していたのかもしれない。

しかし、小腸はかなり膨満しても破裂することはめったにないし、このような破裂の仕方は珍しい。

ただ、ときどき観ることがあるのだ。

そして、裂けるのはどういうわけか必ず腸間膜付着部の反対側だ。

なぜだ?

粘膜面から観ると、とくにひどい損傷があるわけではない。

ただ、触ってみると縦にみごとに筋層は切れている。

腸閉塞があって、物理的に拡張することで破裂したとは思いにくい。

そして、疝痛を示した所見もない。

ただ、何度かこういう剖検例を観ているので、記憶のために書き留めておく。

                        ////////////////

昨日は、札幌で北海道獣医師会の学会幹事会。

学会の発表順と座長の割り振り。

学会は臨床獣医師が勉強する有益な場なのだが、運営する人と、発表する人があってはじめてなりたつ。

当たり前のことなのだが、聴いているだけだと感じないことかもしれない。

                             -

今日は、当歳馬の球節OCDの関節鏡手術。

一般には早すぎるのだが、骨片が完全遊離体になっていたので、手術することにした。

次いで、1歳馬の腰痿のX線撮影。

血液検査のあと、2歳馬の第三中足骨外顆完全骨折。

このタイプの骨折は成長板があった部位を突き抜けて折れるが、成長板損傷とは表現しない。

もう閉じてしまった成長板の部位で折れても、それはSalter-Harris損傷とは言わない。当たり前。

だから、仔馬・仔牛で中手骨近位部が折れてもS-H損傷とは言わない。

生まれたときには、もう中手骨近位の成長板は閉じているからだ。

さらに、2歳馬の舌の裂傷が来院。

チフニーで「しゃくった」ら切れたらしい。

ハミでしゃくっちゃあいけない。ハミが凶器になってしまう。

 

 


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