何年か前、海外の馬臨床の優秀な先生を招いて講演をしてもらいたい。ついてはどこで講演してもらおうか? という話が出たときに私は希望した。
「日本の馬の半数以上は北海道にいて、だから日本の馬獣医師の半数以上は北海道に居ます」
「しかし、東京での講演に、それほど多くの北海道の獣医師が行けません」
「だから、ぜひ生産地へも来て、講演、実習をやってもらいたい」
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多くの関係者がわれわれの希望をくんでくださり、東京での講演、美浦での実習に加えて、生産地での講演や実習が実現してきた。
獣医師だけでなく、生産牧場や育成牧場など関係者広くを対象として講演してもらうことも意義のあることだと考えている。
獣医師だけが理解していたのでは、いろいろな技術や知識も普及していかないし、向上していけない。
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昨夜は、参加者100名くらいだっただろうか、静内の最も大きなホテルの最も大きな部屋がほぼいっぱいになるくらいの人がDucharne先生の講演を聴きに集まった。
獣医師でない方、あるいは獣医師でも馬の喉の症例を多くは診ない方には、すこし難しい内容だったかもしれない。
通訳が入るので、2時間の講演でも実際には1時間の話になる。
それだけの時間の中でもDucharme先生の講演は、多くの動画や写真が含まれていて、とても価値あるものだった。
大学教授でもあり、上部気道の問題についてはあらゆる文献を把握しておられるので、話される内容には根拠があり、間違いがない。
その世界の頂点であり、最先端を知ることの意義は、スポーツの世界にも似通っているかもしれない。
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実はDucharme先生はJRAとの共同研究のために何度も日本を訪れていて、日高に来られたこともあるのだそうだ。
忙しい中で快く招聘に応えてくださったのも、そのような経緯もあったのかもしれない。
あらためてJRAのすごさを実感するとともに感謝した。
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私は興奮さめやらず、眠れない夜をすごした。
さあ、今日は獣医師向けの講習・実習だ!