きのうは休みで、夜は当番じゃなかった。
早朝、繁殖雌馬の疝痛の依頼。当番者に伝言した。
出勤したらその馬の開腹手術が始まるところだった。
実習生が来ていないので尋ねたら、3時まで手術していたので、まだ呼んでいない、とのこと。
電話して呼ぶ。
症例を観るために費用と時間をかけて実習に来ているのだ。私なら1例でも多く観たい。
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成馬の小腸閉塞で、完全膨満していたら助手が必要だ。
実習生に手を洗わせる(手指を消毒して、滅菌手袋を着けた助手をさせることをそう言う)。
しかし、絡んだ空回腸がほどけない。
それで私も手洗いして手術に参加した。
赤黒く変色した纏絡部を切開して減圧した。
そのことで、やっとほどけた。
腸間膜が破れていた。
12日前の分娩後からずっと調子が悪かったそうだ。
ひょっとすると分娩で腸間膜が破れたのかもしれない。
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壊死部を切開して内容を棄てる。
腸間膜の血管を結紮止血する。
回腸を切断して、断端を閉じる。
壊死部を切除して、健康な部分を盲腸へ吻合する。
腸間膜を縫い付けて穴を閉じる。
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腹腔洗浄した。
完全壊死した小腸からは、大量の炎症性サイトカインが腹腔内へ放出されているはず。
それだけでなく、腸間膜が破れていたので、出血もあり、フィブリノーゲンも腹腔へ出ている。
こういう症例の腹水中の乳酸値や細胞逸脱酵素も、血中以上に上昇していることが報告されている。
それらは、癒着の要因になるはず。
腹腔洗浄はその可能性をいくらか減らしてくれるだろう。
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夜中中、疝痛に苦しんでいたらしい。
顔も肢も傷だらけ。
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ことしは今日が春分の日だものね。