Quantcast
Channel: 馬医者残日録
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1691

lag screw の打ち方

$
0
0

折れている骨は、

きちんと整復して、lag screw で仮固定して、それからプレート固定したい。

(中央部のプレートに刺さっていない2本のスクリューが、仮固定したLag screw)

                         -

このlag screw はできるだけ骨折面に垂直に入れたい。

垂直に入れないと・・・・・・

締めることで、骨折部にずれる力を働かせてしまう。

というのが上の図。

                           -

近位遠位方向でも、骨折面に垂直に入れるべきだ。

というのが上の図。

骨に垂直に入れると、締めることで、近位と遠位方向へ骨折部をずらす力が働く。

ただし、馬の整形外科の成書には、骨に垂直に入れて良いんだ。と書いてある本もある。

動物が起立すると、骨は短くなる方向へ圧迫される。だから、lag screwがそれに逆らうように力をかけていても構わない。という考えだ。

私は、やはり骨折面に垂直に刺すべきだと考えている。

ただし、「原理的には」ということであって、必ず、正確に、垂直でなければならない、ということではない。

                          ---

手順は、

4.5mmドリルで骨折線までドリルを開けて、

その穴に、3.2mmドリルガイドを入れて、3.2mmドリルで対側皮質まで貫いて、

カウンターシンクして、

デプスゲージで必要なスクリューの長さを測って、

タップでネジ山を切って、

スクリューで締める。

この6ステップを覚えこむ必要がある。

実際やっていると、「あっカウンターシンクするの忘れた。」とか、

「あ~スクリューの長さ測ってなかった。」とか、なりがち。

しかし、タップでネジ山を切ったら、もうドリル穴に何も入れてはいけない。ネジ山を壊す恐れがあるからだ。

                          -

しかし、子牛の骨折プレート固定では、カウンターシンクしないでも大丈夫だし、

タップでネジ山を切っていなくてもスクリューは入っていくし、しっかり効く。

皮質骨が薄くて、柔らかいからだ。

上の実際の症例のx線画像では、骨幹端部には6.5mm海綿骨スクリューを使っている。

黒毛和種の新生子牛などでは、骨幹端には6.5mm海綿骨スクリューを使うのが良いと、最近は考えている。

骨幹端は、とくに皮質骨が薄くて柔らかいからだ。

                          -

4.5mmドリルでの穿孔と、3.2mmドリルでの穿孔は、順序が逆でも構わない。

3.2mmドリルで対側皮質まで貫いておいて、骨折線までを4.5mmドリルで太く(滑り穴)しておく。

この方法なら、ドリルガイドは要らないかもしれない。

                          -

骨折を完全に整復し、lag screw で仮固定できたら、骨折プレート固定は半分うまくいったようなものだと感じている。

                        ---

新・小動物骨折内固定マニュアル―AO/ASIFテクニック 泉沢 康晴,種子島 貢司 メディカルサイエンス社

図はこの本からお借りした。

日本語で牛の骨折内固定を一から学べる本はない。

この本は小動物向けなので、大動物にはそのままは使えない部分も多いが、

30-50kgの子牛だとレトリーヴァー、バーニーズマウンテンドッグ、セントバーナードなどと体重はかわらない。

手短に基本を知るには良いかも。

                           -

馬の整形外科医は英語で最新の成書と文献で学ぶ必要がある。

馬の、とくにサラブレッドの骨折内固定はまだまだ難しく、challenging だからだ。

                       //////////////////

月曜日は会議。

火曜は、午前も午後も腕節骨折の関節鏡手術。どちらも左右両方。

夕方は、1歳馬のDDSPの軟口蓋Laser焼灼。

水曜は、午前中4歳馬のTieback&Cordectomy。

午後は腕節骨折の関節鏡手術。

木曜と金曜は会議と講習会。

年末だ・・・・来週は忘年会だ・・・・大掃除をする暇はあるのか?

                          -

う~ん、北北西。

どちらかというと、南北軸に沿っていることが多いような気もするけど、

まったくでたらめなこともある。

地軸を強く意識しているとは思えんね。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1691

Trending Articles