骨折内固定の手法の種類には、
スクリュー固定
ピンニング
髄内釘
プレート固定
がある。
馬ではラグ法、ラグスクリュー法で骨片や亀裂骨折を圧迫固定するスクリュー固定手術が多いのだが、私のところでも牛の骨折でスクリュー固定をしたことはほとんどない。
適応になる骨折がほとんどないのだ。
ピンニングは、ヒトでは手のひらや指の骨とか、鎖骨など、固定しておけるが、ずれてしまうのでピンを入れておく、というような使われ方をすることが多い。
小動物では髄内ピンが長骨骨折(大腿骨、脛骨、橈骨、etc.)に用いられることもある。骨が細く、荷重が小さく、術後おとなしくしている時間が長くいのでピンニングで大丈夫なことが多いからだろう。
ピンニング手術の利点は外科侵襲が小さく、骨折部を開けずに済み、コストが安いなど数多い。
しかし、骨折部を通過するように髄腔にピンを通すだけなので、骨は回転するし、近位遠位への固定力がない。
術後すぐに立ち上がるし、子牛と言えども数十キロ体重があるので、有効な固定をできる場合は少ないだろう。
ピンニングの欠点を減らすために、髄内釘(ずいないてい)と呼ばれる金属棒を骨髄内に打ち込むこともヒトの骨折固定では行われている。
断面がクローバー型した髄内釘を用いれば回転を抑えることができる。
しかし、ゴツイ髄内釘になるほど打ち込むのがたいへんで、打ち込む関節面のダメージも大きくなる。
ヒト整形外科では、インターロッキンネイルと呼ばれる横方向にスクリューを通せる髄内釘も用いられている。
このインターロッキングネイルは小動物用にもさまざまなサイズで市販されている。
しかし、とても特殊な器具器械と消耗品が必要で、手術が簡単で、なおかつ安く済むという点ではピンニングや髄内釘の利点は失われている。
小型犬に多い橈骨骨折にはインターロッキングネイルは使えない、と岡山で林慶先生が講演されていた。手根関節へのダメージが大きくなるからだそうだ。
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プレート固定は、骨の上にプレートを乗せて固定するので、荷重中心と固定力がずれてしまう。その欠点は、技術上の工夫でおぎなわなければならない。
手術部位はプレートの長さちかく切り開くことになる。金属(インプラント)を残す手術なので感染すると異物としてのインプラントを抜くまで感染が続く。
感染は金属の周囲を侵し、固定を無力化する。
しかし、今のところ最も広い範囲に適応できる骨折内固定だろうと思う。
この動画は、ヒトの橈骨骨折をモデルにしていて3.5と呼ばれる小さいサイズのスクリューとプレートを用いていることに注意。
使っているプレートはLC(Limited contact)-DCPという、骨に当たる面に削った部分があり、少しでも骨膜への圧迫と、仮骨を妨げないようにデザインされたDCPの改良型。
チタン製しかなく、DCPより高いので・・・・大動物にはステンレス製のDCPで構わないはず。
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長くなったので、創外固定についてはまた次回。
岡山での講演で林慶先生も骨折内固定のアニメーションをいくつか見せてくれたが、
「こんなにうまくいくことはありません」とおっしゃっていた。
上で紹介したアニメーションもこういう風にやりたいものだ、という解説にすぎないし、
実際の手術の動画も、うまくいったから使われている。
「骨折は1症例ごとに異なっている」と林慶先生も述べられていた。
その辺、注意して観ていただきたい。
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親知らずが虫歯になってきているのに気づいて、他の歯から手入れしてもらった。
そして、今日、肝心の親知らずを抜いてもらった。
馬の腹を切り、骨を削り、皮膚を切り取る私だ。
歯を抜かれるくらいなんでも・・・・・・・ちょっと怖かった;笑。
痛み止めと抗生物質を真面目に飲もう!
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デジカメが半壊したので新しくした。
今度のは「顕微鏡モード」がついていて接写に強い。
上の歯はその顕微鏡モードで撮影した。
確かに以前のカメラのスーパーマクロより撮影しやすい。

さらにライトガイドを着けると、暗い場所での接写のストロボ撮影もできるらしい。
さて、何を撮ろうか?