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Channel: 馬医者残日録
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1歳馬の網嚢孔ヘルニア

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夜、9時過ぎに呼ばれた。

1歳馬の疝痛、とのこと。

例によって、もう麻酔が始まるところで、術野の準備と手術器具の用意を併行してやって、すぐに開腹する。

小腸の閉塞で、腹囲の膨満が強い。

そして、その馬は腹膜下脂肪が驚くほど厚かった。

腹腔内で回腸を探り当てることができたので、回腸から小腸を引っ張り出す。

空腸がどこかへ入り込んでいる感覚があったが、苦労しないで引き出せた。

入り込んでいた部分は傷んでいるが蠕動がある。

色調も悪いし、腫れてもいるが・・・・・回復しないかしばらく観察していたが、

どんどん正常な色に戻るということはなかった。

温存すれば、手術後に壊死するかもしれない。

3.2m切除して、吻合した。

しかし、その頃から全身状態が悪くなった。

腹腔内に出血がある。

シリコンチューブを入れて吸引したが、8リットル以上吸引された。

口粘膜は貧血とチアノーゼ。

網嚢孔(ウィンスロー孔)ヘルニアでは、腸管を引き抜くときに肝臓や門脈が裂けることがある。

その出血は止める方法がない。

なにせ、腹腔の背中側で、孔の中だ。

輸血の準備も考えたが、出血の量を考えると間に合わないし、止める方法がないなら虚しいだけだ。

そして、馬は死んでしまった。

                  //////////////

暑い・・・・

暑い・・・・

でも腹は減る。食欲は落ちない;笑

 


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