その日は午前と午後にscrewを1本ずつ入れるだけで、楽勝の予定だった・・・・
午前中はP2の底側突起の関節軟骨下嚢胞状病変。
こんなところに狙ってscrewを入れるのは簡単じゃない。
昼近くまでかかった。
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午後はやり慣れた大腿骨内顆。
Cystの位置が好発部位よりわずかに軸側に寄っている。
角度が難しい。
その手術開始前、黒毛和種の難産・帝王切開の依頼。
馬の麻酔覚醒起立に1人、手術の片付けとあと1頭の予定の診療に1人、そして・・・
しょうがない、私1人で牛の帝王切開をする。
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初産の黒毛。分娩予定日より5日遅れている。そのせいではなく胎仔が大きすぎるとのこと。
そのまま帝王切開する。
牛の帝王切開を手術するのは私は数年ぶりだったが30分ほどで終わらせる。
繁殖雌馬の疝痛も来るのだ。
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帝王切開の片付けもそこそこに、繁殖雌馬の開腹手術の始まりを手伝う。
しかし、ひどいチアノーゼ。
気管チューブや麻酔器を確認するが問題ない。
なぜだ?
このチアノーゼでは生命活動は続かない。
心停止した。
フラット。
朝から疝痛症状を示していて、朝も心拍が100以上だったとのこと。
来院してもチアノーゼがあった。しかし、PCVは50、乳酸値7mmol/l。
超音波画像で結腸壁に肥厚があり、開腹手術することになったのだが・・・
あ~心疾患か?
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剖検で、心臓の横幅が正常の倍以上になっていた。
肝臓は黒く鬱血しひどく大きい。結腸、盲腸ほかも水腫性に肥厚し、腎臓の周りにも膠様浸潤がある。
鬱血性心不全とでも呼ぶべき状態。
とても治療できるような病態ではなかったのだが、前々から複数の獣医師が診ていながら診断できなかったのは残念なことだ。
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というような年の暮れ。
距骨骨折の馬はダメになった。
フルリムキャストを巻く、さらには脛骨遠位にTransvers Pin Cast を付けるかが方法だったかもしれないが、
それはそれでリスクがある。
というような年の暮れ。