近所の犬
この作者の本は、「昭和の犬」以来。 近所の犬 姫野 カオルコ 幻冬舎 そんなに犬が好きなら飼えばよいのに、と思うのだが、飼えない事情があるらしい。 それで出会う犬を、ちゃんと飼い主に許しを得た上で可愛がる。 その犬に出会えそうな時刻に探し求めるように散歩に出たりして、とんでもない犬好きなのだけど。 でも、犬にはそれほど好かれないらしい。 面白い、変った人だ。...
View Articleソウルメイト
馳星周氏は浦河出身の作家。 不夜城で大ヒットを飛ばした。 不夜城 (角川文庫) 馳 星周 角川書店 しかし、それは新宿を舞台に中国系マフィアたちが暗闘する話で、主人公も極悪の冷血漢だった。 ー 鎮魂歌 不夜城II (角川文庫) 馳 星周 角川書店 不夜城Ⅱに至っては、スプラッターの趣さえあった。 こんな小説を書くのはどんな悪いヤツか、くらいが印象だった。...
View Article第三手根骨盤状骨折screw固定
5歳競走馬が第三手根骨を盤状骨折 slab fracture した。 chip fracture より休養期間も長くなるし、予後も懸念されることを説明した上で、手術することになった。 関節鏡を入れると、骨折線が見える。 腕節は手根間関節のいつもの手術より屈曲させておいた方が良い。 屈曲位での近位遠位方向撮影をしやすいように、だ。 骨折線の内側と外側に、第三手根骨の関節面に沿うように針を刺す。...
View Article女たちのジハード
介護に苦労していたら、自身に癌がみつかったことを本に書き、雑誌のインタビューを受けておられるのを読んだ。 と思ったら、20年前の直木賞受賞作を図書館で見つけて・・ 女たちのジハード 篠田 節子 集英社 大手保険会社に勤める4人の若い女性の群像劇。 まだ”OL”と呼ばれる職種があった時代の話だし、 バブル崩壊と大企業のリストラが小説の背景にある。...
View Article蹄球部の裂傷のその後
3週間前に蹄踵部を大きく裂いてしまった1歳馬。 傷もとても深かった。 癒合しないとダメになるような傷だったので、全身麻酔してしっかり縫合し、ハーフリムキャストを巻いていた。 3週間経って、飛節が腫れた、とのことで外してみることになった。 - キャストを外すのだって技術が要る。体力も。 私は前と後を切ることを推奨している。 だって、内側は切りにくいでしょ。...
View Article4 ヶ月ホルスタインの癒着による小腸閉塞
昼、4ヶ月のホルスタインが腸閉塞ではないか、との依頼。 午後のTieback&cordectomy を終わるころ来院してもらうことにする。 超音波検査では粥状の内容がある小腸が見えた。 もう4日便が出ていない、とのこと。 ときどき後肢で腹を蹴るそぶりがある。 ー 成牛なら立位で右けん部を切開するかもしれない。しかし、子牛なので枠場保定はできない。...
View Article内股っ!
距骨骨折の内固定手術が終わった夕方。 1歳馬の内股の外傷の依頼。 来院したら大人しそうな馬で、鎮静剤を投与したら、反対側の腹の下から傷を触らせる。 これなら立位で縫えるかも・・・ 鼻捻子保定もして、局所麻酔して、 私はやらないで、縫ってもらった;笑 終わって夜8時。 ////////// 夜明けおそいです。
View ArticleThoroughpin or False Thoroughpin
サラピン Thoroughpin とは飛節部での、深屈腱腱鞘炎(正確には Lateral Digital Flexor Tendon Sheath なので、外側趾屈腱)。 こういう外貌。 一旦こうなると、運動を中止したり、液を抜いたり、ステロイドを入れたり、しても改善せず始末に悪い。 先日の例は、腱鞘鏡手術をしたら屈腱が裂けていた。 ---...
View Article1歳馬の距骨骨折screw fixation
朝、会議の席で、「距骨骨折よろしくお願いします」と頼まれた。 昼休み、「どうだ?」と訊いたら、「こんなで、午後やります」とのこと。 会議が終わって、急いで戻った。 距骨は”くるぶし骨”。 糸巻きのような形をした骨で、大きく割れることは珍しいが、割れたときには予後は悪い。 固定しづらく、全体重がそこにかかるからだ。 - 骨折線は明瞭には見えない。...
View Article橈骨遠位外側・中間手根骨近位のchip fx の関節鏡手術
関節鏡手術は最もよくある手術(2018年度は244頭だった)なのだが、あまりによくやるのでかえって記事にすることが少なかった。 特殊な手術でもあるので、講義・講演・実習に呼ばれても詳細に説明することはない。 聴く人が arthroscopist になることはまずないだろうから。 しかし、ニーズが多い手術なのだから、内容を知っておいてもらう必要はある。 ー...
View Article4歳競走馬の繋靱帯近位付着部損傷
大掃除をし、1年を振り返る時季になったが、今年もそういう仕事の仕方ではなくなってしまった。 別なやり方を考なければいけないのだろう。 ー 年内の手術予定もいっぱいいっぱい。 競馬場から帰ってきた競走馬の跛行を診て欲しい、との電話がきたので、「今、連れてくる?」 馬運車から降りてきたその4歳メスの競走馬。 直線の常歩では明瞭な跛行はなし。しかし、チョコチョコ歩き。歩様短縮。...
View Article楽勝にはならない年末の一日
その日は午前と午後にscrewを1本ずつ入れるだけで、楽勝の予定だった・・・・ 午前中はP2の底側突起の関節軟骨下嚢胞状病変。 こんなところに狙ってscrewを入れるのは簡単じゃない。 昼近くまでかかった。 ー 午後はやり慣れた大腿骨内顆。 Cystの位置が好発部位よりわずかに軸側に寄っている。 角度が難しい。 その手術開始前、黒毛和種の難産・帝王切開の依頼。...
View Article第三手根骨外側矢状骨折でscrew固定の適応ではないと判断した
3歳競走馬の第三手根骨矢状方向への盤状骨折、ということで、 screw固定の準備もばっちりして挑んだ。 しかし、この矢状方向への”盤状”骨折は、多い内側ではなく外側。 第四手根骨との関節側だ。 骨片が変位しているのが気になる。 これが骨折部。右下が第四手根骨。 骨片は浮いているし、関節外までつながってはいない。 これではscrew固定の対象にはならない。...
View Article3ヶ月齢黒毛和種の空腸捻転
一応の仕事納めも終わり、この日とばかりに症例の回顧的調査をしていた年末の日曜日。 3ヶ月齢の黒毛和種牡子牛が具合が悪くて横臥し、呼吸が速く、尿が出ていないので、膀胱破裂かも、との依頼。 子牛の膀胱破裂は珍しいし、膀胱破裂なら超音波で大量の腹水が見えるはず。見えなかったら違うだろ? 来院したら、子牛はもう立てないで横臥し、腹囲膨満。 超音波で腹部を観たら、 どうやら小腸閉塞らしい。...
View Article手術納め
もう2人当番体制になっている年末。 午前中、競走馬の腕節の関節鏡手術。左右両方。 午後も診療予定が入っていたのだが、1歳馬の疝痛の依頼。 きのうからの疝痛とのこと。 便秘、回盲部重積、結腸左背側変位、が類症鑑別かな、と思って準備して待つ。 来院して、超音波で観たら脾臓のそばに左腎臓は見えず、膨らんだ組織に囲まれた血管が見えた。 たぶん結腸動脈だ。...
View Article腕節の裂傷
年末の朝、繁殖雌馬が腕節を横に切って、時間も経っていて腫れている、骨も見えている、との依頼。 馬栓棒をへし折って、廊下へ出ていたのだそうだ。 たしかにこの部分は傷の癒合はとても悪い。 そして癒合しないと、傷の治りもとても悪い。 馬が寝るたびに傷が引張られるからだ。 - 鎮静剤と局所麻酔剤で傷を触らせるか、処置させるか、馬のようすを判断しなければならない。...
View Article2018診療実績
2020年になったばかりでややこしいのだが、見ているのは2018年度の診療実績。 年々診療頭数が増えて、入力・集計・整理するのもたいへんになっている。 まだ2019年度中であり、やっと出た2018年度の診療実績が手元にある。 - 2017年度も診療件数は1,302と記録的に伸びていた。...
View Article執刀はじめはTiebackから
私は6日が仕事はじめだった。 Tieback&cordectomyでスタート。 翌日も、午前中Tieback&Cordectomy、午後はTieforward と喉鳴りの手術で今年はスタートした。 今日は、関節鏡手術初め。飛節のOCDだった。 - 2018年は 飛節の関節鏡手術が 122件、で最多。 次いで 腕節...
View Article2018診療実績 内固定手術
引き続き2018年の診療実績から。 screw固定手術は40頭。 部位のうちわけは、 大腿骨内顆のSubchondral Cystic Lesion が17頭。増えたね~! しかし、”骨折”内固定ではないので、ちょっと違うと言えば違う。 中手骨”骨折” 8頭。 中足骨 2頭。 第一指骨 5頭。 第一趾骨 2頭。 第三手根骨 4頭。 第三足根骨 1頭。 種子骨 1頭。 -...
View Article馬の寄生虫対策ハンドブック
何度か書いてきたし、 講演でもお話ししたが、 馬の寄生虫対策はたいへん難しくなってきている。 馬回虫にはイベルメクチン耐性が進んでいるし、 もう定期的な全頭一斉の駆虫はしない方が良いとされている。 それらについての基礎となっている情報をひとつひとつの学術論文から読み取るのはたいへんな苦労だが、 それらを概説してくれている本が、翻訳されて!出版された。 馬の寄生虫対策ハンドブック 妙中 友美...
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