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香港AO advances in equine fracture management 4日目

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さあいよいよ最終日。

結局、香港は最終日までどんよりしていた。

おまけに朝は小雨が降っていた。

ボタッと街路樹の大きな赤い花が落ちている。

なんという花だろう?

                -

実習はきのうで全部終わった。

最終日は講義だけ。

片付けられている整形外科器具器材、大量のプラスチック骨。

スイスへ送り返されるのだろう。いや、このあとはオハイオ州コロンバスで同じ馬骨折advance courseが4/16から開かれる。行き先はそこか。

                 -

他の部位の関節固定手技(遠位指節間関節、足根関節、肩関節) by Dr.Nixon

この講義もとても興味深かった。

飛節が崩壊してしまった症例を何度か見てきたからだ。

肩関節はミニチュアホースなら、ということだが、肩関節まで固定してしまうのね。

                 -

骨端骨折の発生と治療 by Dr.Ruggles

これも生産地で子馬を多く診ている私にはとても興味深い。

成長板損傷はガッチリ固定してはいけない。

成長板が壊死したら骨が成長しなくなるからだ。

部位と状態ごとに経験から学んだ治療方法が必要になる。

Dr.Rugglesのすべての症例の体重や競走馬としての予後を聴いて書き留めたかったが、あまりに症例も写真も数多く無理だった。

                 -

開放骨折の治療の原則 by Dr.Riggs

馬外科医たちでも目をそむけたくなるような悲惨な骨折・脱臼事故の動画と写真。

それらは内固定手術の対象にはならない。

しかし、人では開放骨折がグレード分けされて、治療指針が示されている。

もちろんあまりにひどいのは断脚になるのだけれど。

                 -

インプラントの除去:いつそしてなぜ by Dr.Ruggles

スクリューやプレートは必ずしも抜かなければいけないというわけではない。

ではどういうときにどうして抜かなければならないか、そしていつ抜くか。

これも経験から学びながら以前とは考えが変わってきている。

                 -

Dr.Auerの「コンピューター補助手術」は削除。

かわりに

最小侵襲手術 by Dr.Richardson

術創を大きく切り広げることなく、小さな切開で骨膜の上にプレートを押し込んで、プレートスクリューはその数だけ穿刺切開して挿入する。

とくにLCPではプレートを骨に密着させる必要がないのでMIPO;minimally invasive plate osteosynthesis が有効。

                 -

プレートによる骨折治療の技術的失敗 by Dr.Ruggles

これもとても興味深い。

失敗例から学ぶことはとても大切。

失敗例を紹介するにあたって、Dr.RugglesもDr.RichardsonもN.M.C.というabbreviation略号を使っていた。

Not My Case !

俺がやったんじゃないゾ 

そこに外科医としてのプライドとエゴも見える。自分ならこんな失敗はしない。

もちろん自分の失敗例も含まれていた。

もっとも感心させられたのはあきらめないこと。

骨折手術後感染しプレートがむき出しになっても治療を続け骨癒合を達成する。

尺骨骨折でプレートの端で骨がまた折れて、また手術して、癒合不全が起きて3度目の手術をする。

それもまたプライドのなせる技なのだろうか。

                    -

さあ、これで3日半にわたった馬骨折アドヴァンスコースが終了した。

参加の認定証をもらって解散。

認定証の下には小さく書いてある。

「この認定は参加したことについてであって、いかなる技能をも証明するものではない」

そう、成果は症例で発揮し証明しなければならない。

                   ---

参加費は1500USドルだった。円安のせいで18万円あまり。面倒な海外送金をしなければいけないので送金手数料が7千円ほどかかった。

ホテルは指定されたホテルではなくてもう少し安いホテルを予約した。cheep,clean and safe. It is enough.

この季節、出張、転勤、卒業旅行で飛行機はとても混んでいるのかもしれない。千歳-香港の直行便はあるがとても高い。一番安かったのは大韓航空ソウル乗り換え便。8万円あまり。

合計、旅費が15万ほどだったか。

私にとっては修行だが、

最高にリフレッシュでき、活力と意欲をもらえる喜びであり、

技術や獣医学知識だけでなく生き方や理念を学ぶ機会であり、

そして

1頭骨折治療すれば安からぬ診療費をいただくにもかかわらず、失敗して馬をダメにすることがある私の

罪と罰

であり、責任なのだ。

                   /////////////

半日時間が空いたので香港の街をぶらついた。

スーツケースを預けたいと思ったが結局博物館の中で預けただけでずっとキャリーバッグを引張りっぱなし。

香港芸術博物館。

前衛的な近代芸術もあるし、骨董品もあるし、華僑が収集した名品も所蔵されている。

ゆれるカーテンに映し出される街の風景。

香港ではなくインドの町中を歩く牛を追った映像もあって、それらが街の雑踏と人いきれと混沌を表現していて、めまいがしそうになった。

羅富記粥麺専家。

らーふーげーじょーみんじゅんが~

香港で指折り有名なお粥屋さん。

もう10年以上昔、ホテルの朝食を食べずにお粥を食べに来たことがある。

味は・・・・・お粥だった;笑

香港の金融中心のビルの谷間の通りにも露天商がひしめき合い、怪しい物を売っている。

ラビリンス、迷宮。

                    ---

3歳の誕生日おめでとう。

 

 

 

 

 


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