香港AO advances in equine fracture management 4日目
さあいよいよ最終日。 結局、香港は最終日までどんよりしていた。 おまけに朝は小雨が降っていた。 ボタッと街路樹の大きな赤い花が落ちている。 なんという花だろう? - 実習はきのうで全部終わった。 最終日は講義だけ。 片付けられている整形外科器具器材、大量のプラスチック骨。 スイスへ送り返されるのだろう。いや、このあとはオハイオ州コロンバスで同じ馬骨折advance...
View Article春の開腹手術ラッシュも一息
香港から戻って、7日間で7頭開腹手術した。 分娩後の繁殖雌馬の結腸右背側変位、 難産で帝王切開、 難産後の結腸捻転、 繁殖雌馬の空腸壊死、 2歳馬の回盲部重積、 繁殖雌馬の結腸捻転、結腸亜全摘、 繁殖雌馬の盲腸便秘。 毎日続いていたのが途切れてやっと一息ついた。 あっ牛も入れたら8日で8頭か。 /////////////...
View ArticleVMADの術後
今日は、 1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。 その最中に、分娩2日目の繁殖雌馬の疝痛の依頼。 来院したら子宮に血腫ができているようだった。 午後は、私は今週は検査当番。 分娩後の繁殖雌馬の産道損傷の診察。直腸と膣がつながってしまっていた。 今年は種付けをあきらめ、秋になって直腸膣壁の再建手術をする。 真菌性子宮内膜炎の子宮内視鏡検査。 子宮内腔に真菌の繭状の塊が見えた。...
View Article分娩直後からの結腸捻転・変位
分娩直後から疝痛だった馬が、分娩3日目にはついに痛みがひどくなり、朝フルニキシン投与、しばらくするとまた痛いので鎮静剤投与して昼に来院した。 PCV42%、乳酸1.2mmol/l、直腸検査でひどい異常は触れないが、体表からの超音波検査で腹底やや右寄りに浮腫を起こした結腸動脈らしきものが観えた。 拡大しても・・・・ やはり結腸動脈で、周辺が浮腫を起こしている。...
View Article分娩後の疝痛 その2
朝、難産で引っ張り出した繁殖が牧場へ帰ってから疝痛を示し、 「あとっぱら(産後陣痛)かなと思っていたけどかなり痛いので・・・」 昼前に来院した。 血液はPCV59%、乳酸値1.7mmol/l、WBC11500。 右内股部で腸管ではない物体が見える。 子宮の血腫か・・・・・ 分娩後の疝痛では子宮動脈破裂による疝痛も類症鑑別に加えなければならない。...
View Article立たない難産馬
もう真夜中へ向かう時刻、難産の連絡で起こされる。 1時間後来院したら馬はトラックの中で立てない。 頭と前肢を引張って、馬運車の出口を向けても立たない。 たいていの馬は出口を向けると立つのだが・・・・ 仕方がないのでトラクターで吊り上げて診療室へ運び込む。 診療室内ではブルーシートを敷いておいて、その上に石鹸水を撒くと馬を滑らせることができる。 この方法は鹿児島の獣医さんのブログで知った。...
View Article4月のてんこ盛りの36時間
朝は予定の副鼻腔炎のBoneFlap 骨開窓手術。 副鼻腔を内張りしている異常な組織があり、どうやらEthmoid Heamatoma 篩骨血腫と同様の組織のようだった。 それなら血様漿液ばかりで満たされた蓄膿であったことが理解できる。 - その手術が終わって、繁殖雌馬の疝痛の依頼。...
View Article分娩後の疝痛 その3 分娩10日後の結腸捻転
分娩10日後の繁殖雌馬が疝痛で来院した。 2日前から痛かったが、今朝は痛くて転がるとのこと。 血液検査では、PCV38%、WBC10600、乳酸値1.9mmol/l。 血液所見は異常なしと考えて良い。 超音波画像診断で、 右横腹部で肝臓と接して観える、おそらく右背側結腸。 肥厚している感じはないが、膨満している。 一部で結腸動脈らしき血管が観えた。 カラードプラにして血流を確認する。...
View Article分娩後の疝痛 その4 空腸腸間膜裂による空腸閉塞
夜、疝痛の連絡。 分娩して5日目の繁殖雌馬が疝痛で、「子宮穿孔じゃないか」と言われたとのこと。 分娩後不調で、きのうは下剤を投与したとのこと。 子宮穿孔による腹膜炎なら夜中に手術しないでも良いかもしれない、しかし疝痛もかなりひどいとのことなので来院してもらうことにした。 子宮穿孔による腹膜炎の開腹手術となると腹腔洗浄用の生理食塩液を大量に温めておかなければならない。...
View Article新生子馬の橈骨遠位骨端板離開
夜、起こされて、これから疝痛馬が運ばれてくるというときに、「新生子馬が骨折しているようだ」との連絡。 話を聞くとどうやら橈骨遠位骨端板の損傷らしい。 「内固定で治療はできるが、競走馬になるかどうかはわからない。 何もなかったように治るとは思えない。」 という回答をした。 いずれにしても、応急処置をしてもらって、明日の朝に対応することになる。 -...
View Article空腸上部の腸間膜裂孔は縫える
新生仔脳症の子馬。 18:22 暴れるので呼ばれる 20:20 輸液が漏れている、と呼ばれる 23:09 点滴管が壊れた、と呼ばれる 00:42 静脈カテーテルが抜けて血が出ている、と呼ばれる で、鎮静剤を用意し、輸液ラインをチェックし、輸液剤を補充し、輸液ラインをはずし、静脈カテーテルを抜去した。 朝、6時前に診に行く。 神経症状はかなり改善されてきた。...
View ArticleAO advances in Equine Fracture Managementに感じる馬骨折治療の進歩
馬は骨折したら治らない。は、過去の話。 多くの馬が手術を受けて競走復帰している。 それでも馬の骨折には難しい要素がいっぱいあり、どんな骨折でも治せるとはいかない。 体重を支える骨がボッキリ折れてしまうと厳しいし、いくつもに割れてしまうとさらに難しい。 ただ、努力は続けられていて、経験は学識としても蓄積されていて、成果もあがっている。 先月、香港でのAO advance...
View Articleフロリダでの馬獣医技術実習
USAフロリダ州にある有名な馬病院 Peterson&Smith Equine Hospital で新卒獣医師と獣医科学生のための馬獣医技術実習が行われる。 8月から10月まで5-6日間の実習が6回に分けて実施される。 獣医師は1500ドル、学生は900ドルの参加費。 内容は、...
View ArticleSalter-Harris成長板損傷のタイプ分けの覚え方
成長板損傷はSalter-Harrisのタイプ分けが今も使われている。 この図はこの本から。 Treatment of Equine Fractures HR Denny Wiley タイプⅠ~Ⅵまでに分けられている。 もっともよく遭遇するのはタイプⅡ。 完全に成長板だけが剥がれるタイプⅠと違って、端のほうには三角形の骨片が付く。 どれがタイプ何なのか、覚えるのは難しそうだが・・・・...
View Article子馬の橈骨骨幹部横骨折
開腹手術を始めるところだったため4時間後に来院してもらった子馬。 キャストも副木も当てていないので、トラックを覗いたときには悲惨な格好で立っていた。 急いで静脈麻酔して、抱えながら寝かせて、副木をガムテープでとめて、手押し車に乗せて倒馬室へ運びこんだ。 そこで取ったx線画像が上の2枚。 橈骨骨幹部中央での横骨折だ。 横骨折は斜骨折に比べて騎乗変位したり開放骨折にはなりにくい。...
View Articleプレート固定と外傷治療と腸管手術2頭と
夜中からの疝痛の子馬。 朝になっても痛かったり、痛くなかったり。 気にしながら、子馬の下顎骨折のプレート固定。 片側かと思っていたら両側だった。 乳は飲めていたのだが、はっきり変位していたので、内固定した方が良いと判断した。 その手術を始める前に2歳馬の外傷の連絡。 「疝痛馬も抱えているし、無理」と返答したが、待っても良いから診て欲しいとのこと。...
View Articlefissure fracture 亀裂骨折
当歳馬の中足骨亀裂骨折。 fissure fracture という。 香港でのAO advance course でも講義のテーマのひとつになっていた。 プレート固定が必要になることもある。 それで、LCPで内固定した。 - 当歳馬のALDの術後経過の診察。 スクリューを抜くか、もう少しおくかの判断。 -...
View Articleドイツの犬はなぜ吠えない?
ドイツのイヌはなぜ幸せか? でドイツの犬飼い事情に興味を持ったので、この本も読んでみた。 ドイツの犬はなぜ吠えない? (平凡社新書 359) 福田 直子 平凡社 この本もタイトルがどうかなと思う。 あとがきに書かれてもいるのだが、特定の主張はなく、ドイツのペット事情について紹介する内容になっている。 ドイツはペット行政「先進国」であるらしい。 それは市民の意識と行動に支えられている。...
View Article子馬の下顎骨折のダブルプレート固定
骨折は運動器疾患に分類されていることがあるが、頭や顎の骨折も多い。 顎を骨折した場合、物を食べられるか?が内固定までするかどうかの判断基準のひとつになる。 子馬だと哺乳できれば生活と成長に問題はでないし、子馬の骨は速く治るので、そのままで良いことも多い。 左右の骨でできている下顎骨の片側の骨折だと症状も軽いことが多い。 -...
View Article屈腱弛緩を放置すると蹄関節が亜脱臼する
腱拘縮と呼ばれる球節や腕節が伸びない子馬も多いのだが、 屈筋群が弱いと思われる蹄関節や球節が「ゆるい」子馬も多い。 パドックへ出して運動させるようになるとどんどんしっかりする、と言って気にしない関係者もいる。 が、1-2週間経ってもしっかりしてこないようなら処置が必要だ。 - 残念ながらつま先(蹄尖)まで撮影できなかったが、蹄関節が亜脱臼している。...
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