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Channel: 馬医者残日録
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優先すべきたいせつなこと

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早朝、入院厩舎から輸液が入っていかない、との電話。

寝てしまって輸液管がからまってしまった、とのこと。

「寝たって、腹痛いみたい?」

「いや、ボクが寝ちゃってその間に馬が歩き回って・・・・」

行ってみたら、輸液管は捻れてグルグル巻き。

その捻れた回数だけ馬房の中を歩き回ったのだ。

入院馬が元気すぎるのも困ったものだ。

            ー

その後、馬を診ていないのに連絡をたのまれた獣医さんから電話。

何だかわからない話なので、牧場から直接電話してもらうように伝える。

牧場と話して連れてきてもらうことになった。

それから担当の獣医さんから電話があった。

前日の午前中からの疝痛。夕方にもなっても痛く、便秘だろうということで下剤を投与した。

夜中、さらに痛くなったとのこと。

来院したら状態はひどい。

関節鏡手術の術後期間の馬で、便秘の可能性もあるかと思ったが、PCV57%。全身擦過傷。

便秘ではこうはならない。

開腹したら結腸捻転だった。

チアノーゼはひどくないが、結腸の膨満がひどく結腸を術創から出すのに手こずる。

骨盤曲を切開して内容を捨てる。

骨盤曲切開部の粘膜の状態はひどくはない。

しかし・・・・

盲腸結腸ヒダより基部でも結腸壁の損傷が進んでいる。筋層までダメージがある。

結腸亜全摘をしてでも、と思ってそこまで手術を進めたのだが、これでは亜全摘しても助からない。

あきらめることにした。 

              ー

朝、予定の1歳馬の耳瘻管摘出。

当歳馬の内股の膿瘍切開。

2歳馬のDDSPの軟口蓋laser焼烙。

午後、2歳馬の橈骨骨軟骨腫の腱鞘鏡手術。

              ー

前夜分娩し、今朝から不調の繁殖雌馬。

朝の血液検査でWBC3000。

来院したら、WBC1700,PCV67。心拍は100超。

こうなってはもう手術には耐えられないし、おそらく消化管破裂だろう。

剖検したら、子宮角先端の穿孔だった。

どうして急激に状態が悪化したのかわからない。

              ー

尿道延長術を行った繁殖雌馬の再検。

当歳のときに鼻梁陥没骨折を持ち上げる手術をした1歳馬の再検。

やれやれ。

朝の結腸捻転はきのう来るべきだった。

午後の子宮穿孔は朝に来るべきだった。

そして、手遅れになったらもう来るべきじゃない。

遅れずに的確に診断・判断すること。

難しいが、それが一番大切な優先すべきことだ。

           ////////////

オラの散歩に満開の花は優先事項ではありません

 

 

 

 

 


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