子宮頚管裂の再建手術
難産すると子宮頚管が裂けてしまうことがある。 子宮頚管は、ひょっとこの口のように膣側へ飛び出して締まっている。 それがこの馬は、2時の方向から7時の方向まで欠損している。 こういう状態だと、受胎はするが、妊娠維持できず胎芽死や早期流産を繰り返す、ということになりやすい。 あるいは腹側の欠損だと、汚れや尿が子宮内に入りやすく、不受胎となりやすい。 診断は黄体期が行いやすい。...
View Article空腸腸間膜裂の閉鎖
分娩して2ヶ月の19歳繁殖雌馬が昼から疝痛。 良くならないとのことで、午後4時来院。 小腸閉塞のようだ。 開腹したら小腸全体がどこかへ入り込んでいる。 腹腔背側正中左寄り。 空腸最上位の腸間膜の孔だった。 まず盲腸のガスを針を刺して抜く。 術創を充分大きく切り広げる。 大結腸を引き出して骨盤曲を切開し、右側結腸まで空にする。 「人手」を投入し 胃も膨らんでいるので針を刺して減圧した。...
View Article腸石症
もう分娩予定日の繁殖雌馬が朝から疝痛で、直腸検査すると腸石を触る、とのことで来院。 おなかはポンポコリン。 臨月の膨らみだけではなく、ガスも張っている。 小結腸へ直腸で閉塞が起こるとこうなる。 ー 尾椎硬膜外麻酔をする。 ブスコパン(臭酸ブチルスコポラミン)も投与する。 そのことで直腸がゆるんで、指に触れる腸石をつかめるか、と思うがつかめない。 ー...
View Articlelong long Day
夜中2時前に起こされる。 40日齢の子馬が激烈な疝痛とのこと。ひどいのでまっすぐ家畜高度医療センターへ来たい。 フルニキシン投与するが無効。 鎮静剤でおとなしくなったので、超音波検査。 膨満した小腸が見えた。 次の当番者を呼び出す。 そして、鎮痛剤投与後10分ほどでまた痛くなり始めたのを確認して3人目の当番者も呼び出す。...
View Articlelong long long days
入院厩舎に新生仔不適応症候群NMSの子馬が2頭居て、具合の悪い結腸捻転の繁殖も居て、夜は8時ころに診に行こうと思っていたら、 他の獣医師が診て連絡をくれたので、 じゃあもう少し後にしよう。と思ったら、疝痛馬を診て欲しいとの依頼。 診察して手術適応ではないと判断したころ、入院厩舎から「尿カテが抜けた」との連絡。 輸液を現場の先生に頼んで厩舎で尿カテを入れ直す。 ー...
View Article真夜中の結腸捻転開腹
土曜日、午前中は顆粒膜細胞腫の卵巣摘出手術の予定だったが、対側の卵巣が活動しているので延期になった。 その後、剖検の嵐。 予定されていた胸膜肺炎の剖検。ひどい。 突然死の1歳馬は腹壁からの腹腔内と筋間への出血死だった。 あと、子宮動脈破裂の繁殖雌馬と盲腸破裂の繁殖雌馬。どちらも分娩事故だ。 解体を手伝う。 馬の体のどこに大きな筋肉が付いていて、 どこが靱帯だけでつながっていて、...
View ArticleGanbaro Wareware メッケル憩室小腸捻転ほか
朝、難産の依頼。 産道に肢が3本入って来ている、とのこと。 来院してすぐ全身麻酔した。 頭が来ているが、両前肢は腕節が屈曲していて、後肢は2本とも産道へ入って来ている。 前肢を直し、牽引するが、肩以上は出ない。 胸部で切胎し、後肢に産科チェーンをかけて、下半身は反転させて娩出させる。 この場合も、下半身は尾位上胎向と同じように出した方が良い。 そのためには、180°回転させなければならない。...
View Article脛骨近位成長板損傷 2ヶ月齢 非定型タイプ
結腸捻転の手術前、2ヶ月齢の子馬が脛骨を折ったようだ、との連絡。 来院して待ってもらうことにする。 開腹手術中に馬運車の中でX線撮影したら脛骨近位成長板損傷とのこと。 しかし、定型の成長板の内側が開いているのではないという。 結腸捻転の手術は私がやる。それが最も早く終わるから。 ー 私は結腸捻転の馬の麻酔覚醒を観て、手術は他のスタッフに任せることにした。...
View Article回虫による重積 ロタ+
10:46 子馬の開腹手術で起こされる。 (私は夜早く寝る。 映画やプロ野球ニュース観る生活は私達には向かない。 夜11時12時に呼ばれるのは最悪だ。 それから手術していたらすぐ夜明けで、”完徹”になりかねない。) 9週齢の子馬が疝痛で運ばれてきて、超音波で小腸の膨満が確認されたが、ロタウィルス陽性。 で、輸液して痛みの様子を観ようとしたが、ひどく痛い、とのこと。 ー...
View Article奇跡の夜が明けた日は腸管手術を3頭、その他にも
私が第一当番だったが、入院馬もおらず、急患の電話もなく奇跡の夜だった。 これが日頃の行いの良さ、というやつだな;笑 朝、1歳馬の大腿骨骨嚢胞のscrew固定とPRP療法。 その最中、不調の繁殖雌馬の診察を頼まれていて私一人で診察。 胸膜炎だった。慢性化していて完治は難しい。治療するなら離乳した方が良い。 そのあと1ヶ月の当歳馬の近位趾節関節の伸展方向への亜脱臼の経過判断。...
View Article胸椎棘突起衝突の骨切り術
トレーニングセールを目指していた2歳馬が、後肢の踏み込みが悪く、「腰」が痛い、 X線撮影したら胸椎棘突起に” impingement 衝突”所見が見つかった、 局所麻酔したらそのときは症状が楽になり、翌日にはもとにもどっていた。 とのことで胸椎棘突起衝突の外科治療を相談された。 -...
View Articleチーム医療
脛骨外果骨折の関節鏡手術が予定されている午前中、橈骨骨折らしい1歳馬も来院するという。 その前に、子馬のNICU入院で居た母馬が疝痛を繰り返しているので診察と経鼻電解質液の投与。 呼吸音がおかしい当歳馬も来院したので、一人で喉頭内視鏡検査と肺の超音波スキャンをする。 跛行の1歳馬は手根間関節の細菌性関節炎だった。...
View Article分娩による腸間膜裂で空腸が壊死することがある
3日前に分娩してから不調が続く繁殖雌馬。 分娩後から発熱。食欲不振。食べるようになったかと思ったら、 今朝ははっきりと疝痛。 牧場の獣医さんがしっかり経過と治療内容を書いてきてくれたので様子がよくわかった。 経過書とはこうでなくてはいけない。 電話でああだこうだ聞いてもメモ書き程度にしかならないし、だいたい整理して経過を話す獣医師が少ない。...
View Article遠隔獣医療
空腸腸間膜裂で空腸空腸吻合したものの術後イレウス POI になった繁殖雌馬と、 大腸炎らしいが小腸閉塞も起こし胃逆流まであった繁殖雌馬とその当歳と、 子宮穿孔だが小腸閉塞も起こし胃逆流まであった繁殖雌馬が、入院していた夜。 輸液の不調で呼ばれ入院厩舎へ。 そのあと子宮穿孔の馬が疝痛で呼ばれ入院厩舎へ。 - そのあと電話で、当歳馬の疝痛を診て欲しい、との依頼。...
View Article小さい子宮穿孔
分娩後4日目の繁殖雌馬。 分娩は安産だったそうだ。 翌日は、発熱と疝痛。 翌々日は解熱した(解熱剤投与済み)が食欲不振。 3日目は39℃で、子宮洗浄されている。 4日目に胃カテーテルで逆流が見られ、来院した。 ー 口粘膜は貧血傾向と不潔感。 超音波では小腸の膨満。 腹水はあるが多くない。 血液検査では、軽度のPCV増加と軽度の白血球減少(5000台)。...
View Article5月末の日曜日
朝、前夜から入院していた繁殖雌馬の開腹。 脾臓が腫れていて、 大結腸を空にしたら胃が右側へ変位している。 それが疝痛の原因ではないだろうが・・・・なんだかわからない症例だった。 - 続いて、繁殖雌馬の結腸捻転。 チアノーゼはひどくないのだが、ひどくむくんでいた。 術前のPCVは54%だったのだが・・・・大丈夫だろう。 -...
View Article優先すべきたいせつなこと
早朝、入院厩舎から輸液が入っていかない、との電話。 寝てしまって輸液管がからまってしまった、とのこと。 「寝たって、腹痛いみたい?」 「いや、ボクが寝ちゃってその間に馬が歩き回って・・・・」 行ってみたら、輸液管は捻れてグルグル巻き。 その捻れた回数だけ馬房の中を歩き回ったのだ。 入院馬が元気すぎるのも困ったものだ。 ー...
View Article忙中閑なし
朝、3歳馬のTieback&cordectomy 580kgの大型雄馬で、うるさくてOGEできなかったそうだ。 その馬が、寝ているうちに別室(X線撮影室)で2歳馬の腰痿のX線撮影。突然、ヨタヨタになった。 午後、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術を始めておいて、別な部屋(覚醒室)でF1子牛の尿膜管破裂?を開腹。 しかし、尿膜管破裂ではなく、尿道破裂だった。...
View Article臍ヘルニアへのゴムリングで
子馬の何%がデベソ(臍ヘルニア)なのかデータはない。 どうやら5%前後は居るようだ。 この地域で5000頭の子馬が生まれるので、5%として250頭。 放置されることもあるが、200頭くらいは処置されていて、 NOSAI20名、HBA10名、開業10名、牧場勤務獣医師数名、が4-5頭ずつくらい処置している、というところではないだろうか。...
View Article1歳馬の下顎骨折
1歳馬が下顎を骨折していて、食べられない、とのこと。 哺乳中の子馬と違って、固形物しか食べない馬では下顎の片側の骨折でも噛めなくて、痩せ衰えてしまう。 手術しましょう・・・ということで、 この左側の歯槽間隙の骨折だと思っていた。 しかし、仰向けにしてみると下顎の形が左右で大きく違っている。 右側の咬筋部はかなり腫れている。 なんと、右の下顎体が大きく割れている。...
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