朝、子牛の焼却の受け入れの依頼。
腸捻転だと思われるが、手遅れで、診察している間に死んでしまったのだそうだ。
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朝の手術は3歳競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。
橈骨遠位外側と中間手根骨近位の骨折だったが、すでにDJD変形性関節症を起こしている。
道営競馬で勝っていて、冬の間岩手競馬で走り、今は道営に戻ってきたが成績はぱっとしなくなっている。
岩手で骨折していたのだろう、と調教師さんの弁。
さもありなん。
橈骨遠位の骨片はひどく大きかった。
折れたときにはひどく腫れただろうに。
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続いて、13歳繁殖雌馬の慢性蹄葉炎の深屈腱切断手術。
2年前に右前の深屈腱を切っている。
右前の蹄骨は良い角度で維持されている。
左前はひどくローテーションしてしまい、蹄骨の先は磨り減っている。
深屈腱切断は蹄骨の形状が維持されているうちにやった方が良いのだが・・・
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午後、生後3ヶ月弱の子馬の球節内反の肢軸矯正single screw 手術。
右前と左後。
球節の肢軸矯正は生後2ヶ月までには判断して手術した方が良い。
2ヶ月過ぎると効果がないわけではないが、効果が弱く、矯正されるのに時間がかかる。
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2歳競走馬の上腕二頭筋滑液嚢炎。
左前の球節に細菌性関節炎を起こして長期間治療していた馬。
球節が落ち着いて治療をやめて放牧していたら、今度は肢が前に出なくなった。
超音波で観たら、上腕二頭筋の滑液嚢にフィブリンがあるが液の増量はひどくない。
しかし、上腕二頭筋の腱自体が変形し、内部に液が溜まっているように見える箇所がある。
とてもneedle to needle で洗浄して効果があるとは思えない。
全身麻酔して、関節鏡を入れて内部を観察し、フィブリン塊をつかみ出して、洗浄することにする。
関節鏡を滑液嚢bursa に入れると滑液嚢鏡手術 bursoscopy ということになる。
やはり、上腕二頭筋腱は裂けており、滑液嚢内にはフィブリンが張り付いていた。
おそらく、球節の細菌性関節炎を治療していた時期から上腕二頭筋滑液嚢にも感染があり、
症状は球節の痛みにマスクされていたのだ。
球節の感染が落ち着いて抗生物質治療を中止したら、上腕二頭筋滑液嚢炎が悪化した、のだろう。
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夕方、6時半。
離れた地域から電話。
重種馬の子馬が午前10時から疝痛をしている、とのこと。
5月初めの生まれで、今月にはいって3回目の疝痛。
2回はイベルメクチンで駆虫している、とのこと。
連れて来るなら診ますけど、
子馬は腸管手術しても癒着しやすいし、
まだ家畜共済に加入していない子馬の手術は治療費が高くなるし、
腸捻転を手術するには時間が経ちすぎているし、
子馬が何度も疝痛を起こすというのはおかしくて、何か病気を抱えている可能性がある、
と説明する。
もう疝痛を見つけてから8時間だ。
その間に獣医師も診察、治療している。
来院するのに4時間はかかる地域だ。
遅いよ。遅すぎる。
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朝、来客。
以前こちらで働いていたこともある獣医さん。
器用で機転が利いて、判断が早くて熱心で優秀な獣医さんだったが、もう辞めて転職すると言う。
多頭数、大規模化している酪農・畜産の中ではもう個体診療させてもらえないとのこと。
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異常を見つけた初期に、「治して欲しい」と言われないと私たちの”仕事”は成り立たない。
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巣にいたりもするけど、
電線で休んでいたりもする。
もちろん撮れない速さと軌跡で飛びまわっている。
アブ出てきたよ。
頑張ってくれ。