高速運動中の喉頭の虚脱の原因がわかったので5種の外科的介入
3歳の喉なりする馬をOGE(Over Ground Endoscopy ; 騎乗運動しながらの喉頭内視鏡検査)したら、異常が見つかったとのこと。 左披裂軟骨小角突起は虚脱して吸気を妨げている。 声帯も軸側(中心部側)へ引張られて気道の腹側を閉塞させがち。 披裂喉頭蓋ヒダも右側が虚脱し、吸気を妨げる。 DDSPも起こすらしい。 -...
View Article再発した結腸左背側変位はフェニレフリン投与運動で解消するか?
2.5週間前に結腸左背側変位を開腹手術で整復した2歳馬。 夜に呼ばれて、私が自分で腎脾間に引っかかっていた結腸をはずした。 胃にも引っかかっていた。 結腸を切開もしていないし、減圧のために針を刺したりもしていない。 その馬が、2.5週間後、疝痛で再来院した。 超音波検査と直腸検査で再発しているのが確認された。 血液検査所見も軽度の脱水と多少の乳酸値の上昇がある。...
View Article治療の遅れがすべて手遅れになるわけではないが・・
朝、子牛の焼却の受け入れの依頼。 腸捻転だと思われるが、手遅れで、診察している間に死んでしまったのだそうだ。 - 朝の手術は3歳競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。 橈骨遠位外側と中間手根骨近位の骨折だったが、すでにDJD変形性関節症を起こしている。 道営競馬で勝っていて、冬の間岩手競馬で走り、今は道営に戻ってきたが成績はぱっとしなくなっている。...
View Article副手根骨骨折の骨片摘出
半年前に副手根骨を骨折した有名種雄馬16歳。 種付け時期が迫っていたので、手術しないで種付け業務を頑張ってきた。 しかし、ときどき痛みがひどくなり、鎮痛剤を投与しなければならなかった。 腕節の外側はひどく腫れてしまった。 腕節は完全には曲がらないみたい。 私は今まで副手根骨骨折をscrew固定したことが何度かあるし、 副手根骨の橈骨との関節腔か関節鏡で骨片を摘出したこともある。...
View Article連夜の結腸捻転・変位
夜、9時過ぎに電話。 繁殖雌馬の疝痛を運びたいとのこと。 10時半すぎに来院。 超音波検査では右側腹部で結腸動脈が見え、浮腫を起こしている。 血液はPCV30台。ぜんぜん悪くない。 疝痛ははっきりしない。 入院厩舎に入れて様子を観ることにした。 が、すぐに横臥し、仰向けにもなった、とのこと。 「やりましょう」 結腸骨盤曲が頭方向へ向いていた。...
View Article嵌頓性臍ヘルニア
朝、当歳馬が疝痛し、臍が腫れている、との連絡。 嵌頓性(嵌;はまる、頓は訓読みは??)臍ヘルニアだ。 見つけてすぐなら押し込めるかやってみるべきかもしれないが、 もう時間が経っているので、押し込もうとして腸管が破れたら腹腔を汚染することになりかねない。 腸管手術になることを覚悟して、吸入麻酔して手術台に乗せる。 はまり込んでいた小腸は壊死していないようだ。...
View Article連日の疝痛 横隔膜ヘルニア、夜中の空振り、大結腸亜全摘
夏の結腸捻転ラッシュは減ったと思っているのだが、 以前に比べれば、とか、 最近は春がとても多いので、とか、 結腸捻転だけにかぎると、のせいかもしれない。 疝痛馬は連日、来院している。 ー 21歳の繁殖雌馬。 今年分娩し、受胎もしている。 しかし、21歳にしては体つきが衰えていない・・・・ 結腸捻転だろう、と思っていたら、小腸閉塞で、...
View ArticleSalmonella
子馬が水様性下痢をして脱水が進行するので診てくれないか、との依頼。 数日前からで発熱もある、とのこと。 腸炎は伝染するかもしれないので入院させたくない。 輸液バッグを貸すから地元で治療したら、と提案した。 細菌検査もしていて結果待ち、とのこと。 - あとで、”Salmonella と結果が来た” と連絡が入った。 うちから? 診療で忙しく確認する暇もない。...
View ArticleRhodococcus equiによる腹腔内膿瘍の末路
家族の急病で獣医師が休んだので、午前中の手術は延期してもらった。 おかげで運ばれてきたRhodococcus equi 感染症の子馬をしっかり剖検することができた。 2月生まれで、生後32日から肺炎で治療し、途中、血液検査の急性炎症像が治まって治療を中断したことは2回あるものの、ほとんどずっと治療していた、とのこと。...
View ArticleTHO 22頭目
1週間ほど前から、左の鼻が麻痺した8歳の繁殖雌馬。 下唇も麻痺している。 舌は麻痺していない。 左耳は位置がやや低いが動く。 左上瞼は動かず、乾燥性角膜炎を起こしている。 嚥下は問題なく、食べているし、水も飲めている。(でも腹囲は大きくなかった) 運動障害、平衡感覚障害はない。 - 地元で喉嚢内視鏡検査も、側頭骨舌骨関節周囲のX線撮影もしてくれている。...
View Article初産牛の膣裂創
初産牛、分娩予定11日前だったが死産が始まって、過大子で、引っ張り出したが膣が裂けてしまった、とのこと。 F1だったそうだ。 獣医さんが地元で縫おうとしたが、見えなくて縫えなかった、とのこと。 - 分娩による膣裂創は、牛では馬より珍しい、と思う。 触診して傷の状態を把握しておいて、 尾椎麻酔までは必要ないだろう。...
View ArticleDecision Analysis for Fracture Management in Cattle 牛の骨折治療の決定の分析
牛の骨折は、治せるかどうかの前に、治療するか、どれだけ経費をかけられるか、が云々されることが多い。 Bovine Orthopedics, An Issue of Veterinary Clinics of North America: Food Animal Practice (Volume... Anderson DVM MS DACVS, David E. Elsevier...
View ArticleDecision Analysis for Fracture Management in Cattle 牛の骨折治療の決定分析 2 ECONOMICS
前文に続いて、ECONOMICS 経済 。 - 牛では、骨折を治療する決定は、 損傷の重篤度(例えば、開放骨折か閉鎖骨折か、神経脈管の損傷、など)、 治療の経費、治療の期待できる成功率、 その患畜のわかっている、あるいは潜在的な、経済的そして遺伝的価値、 骨折の部位とタイプ(例えば、関節か非関節か、キャストか骨プレートか外固定か)、 を評価することで行われる。...
View ArticleDecision Analysis for Fracture Management in Cattle 3 ECONOMICS
Decision analysis for fracture management in cattle の冒頭、economics の後半。 - 一般に牛生産者は、どんな骨折についても、それなりの成功率が示されても最も安い治療を選択しようとする。 牛が経済価値が高かったり、遺伝能力が高かったりすると、畜主は、しばしば、予後が悪いときでさえ経費がかかる治療を選択したがる。...
View Articledecision analysis for fracture management in cattle ECONOMICs 牛の骨折治療の決定の分析 経済性
さて、私なりに、牛の骨折治療の決定の分析における経済性について計算してみたい。 - 子牛が骨折する。 50万で素牛として売れると期待していた子牛なら、一見経営上の被害額は50万だ。期待販売価格;X 家畜共済に入っていて廃用になれば保険金(共済金)が出る。仮に20万としよう。補償金;Y...
View Articlephysitis of humerus 上腕骨近位の成長板炎
1歳馬が前肢を跛行しており、そのうち後も歩様がおかしくなり、なんだかわからない、との稟告で跛行診断を頼まれた。 走らせて観ると、左前肢の跛行。 明らかな点頭運動がある。 左前肢をLow 4 nerve block することにした。 が、この馬、気性が激しく、鼻捻子しようとしたら立ち上がって前を押さえていた人を吹っ飛ばした。 なんとか鼻捻子をとって、神経ブロックした。...
View Article経過の良くない創傷性角膜炎の羊膜・結膜フラップ
現役競走馬の創傷性角膜炎。 数日治療したが、経過が思わしくない、とのことで来院した。 やっていなかった自家血清などを加え、点眼回数を増やすよう指示したが、翌日も思わしくなく再来院した。 表層は明らかなメルティングではないが、深くて嫌な感じ。 中央は深く黒い。デスメ膜に達しているなら穿孔する恐れがある。 穿孔したら、眼球、ボールとしてはダメになる可能性がある。 鋭匙で表層を擦って・・・...
View Article突然、飼料を変更してはいけない
朝、というか夜中? 3:12 ウトウト起きてはいたが・・・ 3ヵ月齢の仔馬が疝痛、との依頼。 前日夕方も転がるくらい痛く、夜も痛く、夜中も痛かったようだ。 来院したら、腹囲膨満、超音波で小腸の完全膨満像が多数見えた。 ひどく膨満している開腹は大きめに開けた方が良い。 小腸を引っ張り出さなければならないし、術創で絞められてしまうからだ。 回腸に乾燥した食物が詰まっていた。...
View ArticleTruperella pyogenes は日和見感染菌なのか? 尿膜管膿瘍
生後1ヶ月の黒毛和種、牡子牛。 発熱と臍の腫脹でずっと抗生剤治療してきた、そうだ。 超音波検査で尿膜管に膿瘍が確認されて、もう手術した方が良い、ということになった。 開業の先生からの症例だが、いつも帯同して来る若い先生に助手をしてもらった。 臍静脈も化膿している。 化膿巣を破らないように腹腔へ到るのに注意が必要。 尿膜管は大きな膿瘍になっていて、臍動脈もそれに沿って化膿している。...
View Article第一趾骨底側突起の骨片摘出 関節鏡手術
1歳馬が第一趾骨(基節骨)の底側突起を骨片骨折した。 この球節内に起こる骨片骨折をOCDだと言う人がいるが、私は種子骨靭帯に引張られる骨折としての要因の方が大きいと考えている。 この1歳馬はセールに出す予定だったのでレポジトリーX線撮影も受けていて、異常なかったそうだ。 しかし、後肢球節が腫脹し、跛行し、X線撮影したら骨片が見つかった。...
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