さて、牛の骨折を内固定する決定のガイドラインのつづき。子牛。
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Calves 子牛
新生子牛の骨折の最も頻発する原因は、分娩介助中の過大な牽引である。
子牛を無理やり牽引すると他の損傷、肋骨骨折、脊椎損傷などもしばしば起こる。
そして、初乳を充分飲めないことで免疫が低下し、二次的な感染につながる。
新生子牛は起立の仕方を知らず、折れた肢をかばうより骨折肢に体重をかけてしまう。
骨折の治療後、寝ている時間が増えることで数日の間に臍の感染が起こることもしばしばである。
臍帯炎は、二次的に骨髄炎を引き起こす血行性の感染広がりを防ぐために、後に外科的治療が必要となる。
これらの一般的なリスクに加えて、子牛の骨格は問題を抱えている。
骨幹の中央部だけがスクリューを保持するのに足りる厚さの皮質骨を持っている。
海綿骨性の骨幹端部は骨折好発部位である。
新生子牛では、大腿骨と脛骨の骨折の60%は膝に近い骨幹端に起こり、骨幹に認めるのは25%にすぎない。
成長板を含んだ短い骨幹端-骨端の骨折片には(内固定するのに)充分な骨がない。
薄く軟らかい皮質骨にしっかりスクリューを入れることはできず、プレート固定は骨とスクリューの相互作用において崩壊することが多い。
強い挿入トルクは、スクリューにより強い押し出し力を必ずしも与えない。
しかし、3Nm以上の挿入トルクは骨にプレートを押し付けて適切な安定を達成し、骨接合の構成要素間の動きを防ぐために必要である。
これが達成されないとき、プレートの動きはスクリューのゆるみにつながる。そして、スクリューヘッドと直接かみ合っている骨は剪断され、近い側(同じ側)皮質骨の骨膜下に皿状骨折を起こし、遠い側(対側)皮質骨に内骨膜下皿状骨折を引き起こす。
幼若な子牛の骨でのin vitro の研修の結果は、骨幹端では6.5mm海綿骨スクリューが4.5mmや5.5mm皮質骨スクリュー以上の保持力を持つことを示している。
この理由で、幼若な子牛の骨幹端では6.5mm海綿骨スクリューの使用が好まれるべきだ。
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新生子牛の骨折は分娩時に多い。無理な牽引で骨折するのだが、肋骨も折れていたりするので注意が必要。
さらに新生子牛は感染に弱く、臍帯炎、下痢、肺炎、なども付きまとう。
おまけに、骨がとても薄くて弱い。
強い力でねじ込めば良いというわけではないし、しかし、しっかりスクリューを効かせることもだいじ。
特に、骨幹端は皮質骨が薄くて弱いので、6.5mm海綿骨スクリューの使用がお勧め。
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6.5mm海綿骨スクリューを対側皮質のドリル穴にしっかり入れるのはなかなか難しい。
そのことも書いておかれるべきだろう。
Zurich大学ならNuss先生はX線透視装置を使って内固定手術をしているのかもしれないが。
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休み明け、朝、戻ってきたら疝痛馬が入院していた。
が、開腹手術にはならなかったそうで、帰って行った。
夕方、繁殖雌馬の疝痛。
かなり痛かったが、腸管の状態はひどくはなかった。
ただ、ひどい脱水があった。術前PCV59.7%。
クローバーの黒カビ中毒でひどく涎を流している馬。
水を飲んで補うのだろうが、水が飲めなくなると脱水が進行し、そのことで病態が悪化したのではないだろうか。
クローバー黒カビ中毒は放置すべきではない。
ススキは秋の風情なんだけどね。