地方競馬場から競走馬が帰って来たが、陰嚢がひどく腫れて、おしっこができないみたいだ、との電話。
すぐ連れて来て、と答える。
サッカーボールは大げさだが、ハンドボールくらいはあるかもしれない。
排尿はできると思うが、脱水しているのだろう。
輸送直後だが、そのまま全身麻酔して手術することにした。
競馬場でも陰嚢は腫れていたらしい。
私は慢性経過を辿る鼠径ヘルニアがあることを知っている。
そういう馬は、夏に悪化することが多い。
開腹手術もして、腸管の状態を診なければならないし、内鼠径もチェックするし、術後もひどく腫れてしまう陰嚢もなんとかしなければならない。
去勢もする。
開腹したが、そのときには腸管は逸脱していなかった。
鼠径は左右とも大きい。特に右。ひどく腫れているのは左の陰嚢。
腹水も増えておらず、出血性でもない。腸管の損傷はないだろう。しかし、腹腔内は乾燥気味。
陰嚢を切開すると全体が大きな血腫になっていた。
陰嚢内も、陰嚢皮下も、左の精巣ほかも、血だらけ。
出血の原因はわからないが、鼠径ヘルニアになっていてどこかが裂けたと考えるのが自然だろう。
鼠径部を切開し、総鞘膜ごと精巣を引っ張り出し、結紮して、さらに坐滅鋏をかけて切断する。
右側も同様に行う。
途中で、陰嚢はほとんど切除した。残しておいても腫れるだけだ。
手術前に尿道カテーテルを入れたが問題なく入った。
包皮は縫合しておいて手術した。傷口は4ヶ所(開腹、左右鼠径、陰嚢)になる。きれいにできないペニスを露出させておけない。
手術後も尿道カテーテルは残しておいた。
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これでこの競走馬は引退。
長年走って、たくさん稼いだが、去勢もされて心穏やかに余生をすごさせてもらえる。
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が、帰りの馬運車の中で、何かあったらしい。
なんと牧場へ着いたら尺骨を開放骨折していたのだそうだ。
なんということだ・・・・・・
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ネットで見るだけでいいかな、と思っていたのだが、やっぱり買ってしまった。
ゴールデンを飼っている「あるある」がいっぱい。
楽しさ、愛しさ、笑い、だけじゃなく、切なさ、戸惑い、悲しみ、もある。
動物と生きることは・・・・