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Channel: 馬医者残日録
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子馬の駆虫の難しさ

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先日の小腸重積の子馬。

発症は71日齢だった。

重積部位にはけっこうな数の回虫が居た。

40日齢ほどでイヴェルメクチンで駆虫したそうだ。

おそらく、その牧場の回虫はイヴェルメクチンに耐性を持っていて、効果がなかったのだろう。

そして、体内移行を済ませて小腸へ戻ってきた回虫が蠕動を亢進させ、小腸重積が起きた。

                  -

馬の寄生虫対策ハンドブック   Martin K. Nielsen 緑書房

この本には、60日齢までは馬回虫を駆虫すべきではない、と書かれている。

効果に乏しいし、耐性が進むから、と。

                  -

今回の症例は、最初の手術のときには回虫は大きくはなかったし、腸を閉塞させてはいなかったが、腸の中で元気に泳いでいた。

吻合部位からもはみ出してきた。

狭い所へもぐり込む性質があるのだろう。

おそらく、その日のうちに再度空腸重積を起こし、翌日剖検する結果になった。

手術後にフルモキサールを投与したので、剖検時は回虫は元気がなかった、が生きている個体もあった。

                  -

私は、60日齢まで回虫の駆虫をしないのでは、今回のような手遅れの症例が避けられないと思う。

回虫の駆虫は、イヴェルメクチンは有効でないことがある(多い)。

子馬を寄生虫から守るのはとても難しい。

そして、その個体を駆虫することだけでなく、他の方法でも牧場の寄生虫対策をしていく必要がある。

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モクレン・サンライズが咲いた。

サクラより早く咲くのも嬉しい。

私には香りはわからないのだけれど。

 

 

 


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