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Channel: 馬医者残日録
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Ganbare Wareware 2

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うまく手術できた、と思った空腸重積の子馬がその夜から疝痛。

・吻合部位の通過が悪い

・また回虫が詰まった

・術後イレウス POI

・また重積した

いろいろ可能性を考えるが、再開腹は現実的ではない。

治療費がかさみ、生存率は1回目より低い。

痛み止めだけで経過を観ることにする。

翌朝、痛みは少しは落ち着いたが、状態は改善していない。

                 -

そんな早朝、繁殖雌馬の疝痛の依頼。

痛くて手に負えない、とのこと。

すぐ第2当番も呼び出す。

来院したら立っていられない。

血液検査所見は悪くないので、超音波検査したいが寝ようとする。

この馬、育成馬時代に開腹手術歴があり、おととしは癒着が元になって結腸捻転で2回目の開腹手術をしている。

その後、2回お産した。

前回の結腸捻転は妊娠末期だったで結腸固定していない。

再発したか?

開腹したら、予想外に空腸回腸の纏絡だった。

それも何重にかに小腸同士が巻きついて解けない。

第3当番も呼び出してもらう。

幸い、絞扼されて壊死し、膨満しているループのひとつが術創から離せたので、そこを切開して内容を捨てる。

他の部分で腸管を絞めている腸間膜を切断する。

それで腸内容を移動させられるようになり、絡んでいるループが解けた。

                 -

回腸を切断して盲端にする。

捨てる空腸下部と回腸を廃液ホースに使って吻側の空腸の内容を捨てる。

3.85m吻側orad で空腸を切断して、盲腸へ端側吻合した。

あとは腸間膜の穴を閉じる。

                 -

その手術のために手洗いしているときに、難産も依頼されていた。

当番でない獣医師も呼び出した。

腸管手術が終わる目途がたって、覚醒室で全身麻酔して難産介助を始めた。

もうお産の開始から4時間以上経っていて、産道が腫れ、羊水もなくなり、頭の失位を整復しても下胎向が治せない。

手術室があいたので、帝王切開する。

                 -

調教している2歳馬の疝痛も頼まれていた。

帝王切開の子馬を引張り上げるのを手伝ってから、2歳を診察した。

超音波でははっきりした異常はない。しかし、左の腎臓が見えない。

とても臆病な超大型馬。

鎮静剤と鼻捻子して直腸検査したが、左の腎臓の尾側にかろうじて手が届くだけ。

脾臓が触れ、左の腎臓と脾臓の間に結腸があって、そこから少し離れた骨盤曲らしい部分には便秘様の内容がある。

結腸左背側変位は否定できないが、様子を観ることにした。

                 ー

午後は腕節骨折の関節鏡手術。

そのあと、子馬の脚軸異常のsingle screw 手術。

具合が悪いきのうの小腸重積馬を診察する。

口粘膜チアノーゼ。

もうダメだろう。

超音波検査したら・・・・

また見事な重積像が見えた。

あきらめることにする。

吻合部位はなんの問題もない。

その吻側で2ヶ所が重積を起こしていた。

なんてこった・・・・

                  -

剖検を終えて私は引きあげた。

2歳馬は結局、左背側変位だったそうだ。

               /////////////////////////

構内のサクラも満開。

むこうの山のサクラも満開。

 

 

 

 


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