うまく手術できた、と思った空腸重積の子馬がその夜から疝痛。
・吻合部位の通過が悪い
・また回虫が詰まった
・術後イレウス POI
・また重積した
いろいろ可能性を考えるが、再開腹は現実的ではない。
治療費がかさみ、生存率は1回目より低い。
痛み止めだけで経過を観ることにする。
翌朝、痛みは少しは落ち着いたが、状態は改善していない。
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そんな早朝、繁殖雌馬の疝痛の依頼。
痛くて手に負えない、とのこと。
すぐ第2当番も呼び出す。
来院したら立っていられない。
血液検査所見は悪くないので、超音波検査したいが寝ようとする。
この馬、育成馬時代に開腹手術歴があり、おととしは癒着が元になって結腸捻転で2回目の開腹手術をしている。
その後、2回お産した。
前回の結腸捻転は妊娠末期だったで結腸固定していない。
再発したか?
開腹したら、予想外に空腸回腸の纏絡だった。
それも何重にかに小腸同士が巻きついて解けない。
第3当番も呼び出してもらう。
幸い、絞扼されて壊死し、膨満しているループのひとつが術創から離せたので、そこを切開して内容を捨てる。
他の部分で腸管を絞めている腸間膜を切断する。
それで腸内容を移動させられるようになり、絡んでいるループが解けた。
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回腸を切断して盲端にする。
捨てる空腸下部と回腸を廃液ホースに使って吻側の空腸の内容を捨てる。
3.85m吻側orad で空腸を切断して、盲腸へ端側吻合した。
あとは腸間膜の穴を閉じる。
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その手術のために手洗いしているときに、難産も依頼されていた。
当番でない獣医師も呼び出した。
腸管手術が終わる目途がたって、覚醒室で全身麻酔して難産介助を始めた。
もうお産の開始から4時間以上経っていて、産道が腫れ、羊水もなくなり、頭の失位を整復しても下胎向が治せない。
手術室があいたので、帝王切開する。
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調教している2歳馬の疝痛も頼まれていた。
帝王切開の子馬を引張り上げるのを手伝ってから、2歳を診察した。
超音波でははっきりした異常はない。しかし、左の腎臓が見えない。
とても臆病な超大型馬。
鎮静剤と鼻捻子して直腸検査したが、左の腎臓の尾側にかろうじて手が届くだけ。
脾臓が触れ、左の腎臓と脾臓の間に結腸があって、そこから少し離れた骨盤曲らしい部分には便秘様の内容がある。
結腸左背側変位は否定できないが、様子を観ることにした。
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午後は腕節骨折の関節鏡手術。
そのあと、子馬の脚軸異常のsingle screw 手術。
具合が悪いきのうの小腸重積馬を診察する。
口粘膜チアノーゼ。
もうダメだろう。
超音波検査したら・・・・
また見事な重積像が見えた。
あきらめることにする。
吻合部位はなんの問題もない。
その吻側で2ヶ所が重積を起こしていた。
なんてこった・・・・
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剖検を終えて私は引きあげた。
2歳馬は結局、左背側変位だったそうだ。
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構内のサクラも満開。
むこうの山のサクラも満開。