Quantcast
Channel: 馬医者残日録
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

当歳馬の橈骨近位成長板骨折のプレート固定

$
0
0

当歳馬が左前肢を負重困難になった。

あとで毛を刈ったら蹴られたような傷が見つかったので、

アブを追うために振り回した母馬の肢に蹴られたのだろう。

ひどい変位はないのだが、橈骨近位成長板のSalter-Harris 2型損傷だ。

橈骨近位の骨端(成長板より端)は短いのでscrewは1本しか入らない。

だから、このタイプの骨折は、尺骨にもプレートを入れる。

尺骨頭部と、尺骨を貫いて橈骨まで入ったscrewで、尾側から支えるのだ。

                -

肢は内転して折れている。必ずそうなるようだ。

外転するのだと脇が広がって耐えられるのだろう。内転には耐えられないのだ。

LCPを橈骨外側に当ててみる。肘関節に近い部分の外側にアプローチするのはたいへん。

骨端に外内方向でLHSを入れて、8孔nLCPを固定し始めたのだが、LCPの遠位が橈骨尾側に乗ってしまう。

LHSはLCPの位置により挿入方向に融通が利かない。

橈骨尾側皮質にドリリングして傷がついたので、9孔nLCPにして、その部分を護り、LCPの遠位部も少し頭側へずらした。

骨端にはLHSが1本しか入らない。

LHSはLCPに固定されているだけで、LCPを骨に押し付けてはいない。

軟らかい当歳馬の骨端には、LHSの小さなネジ山はさほど強力には働かないだろう。

併行して、尺骨の尾側を切開して尺骨を露出しておいた。

こちらには9孔のnDCPを当てる。

尺骨頭部と、尺骨遠位部に交互にscrewを入れていく。

遠位部のscrewは橈骨に届かせる。

私は橈骨の頭側皮質も貫いた方が良いと思うのだが、それは症例によっても異なり、議論があるところかもしれない。

橈骨の近位成長板を、尺骨から支えるのだ、というコンセプトを理解していただけるだろうか。

double plate になっており、2枚のプレートはほぼ垂直の位置関係にある。

そのためには、橈骨へのプレートは外側に当てなければならない。

橈骨外側のLCPには、近位部にscrewを1本加えるべきだったかもしれない。

                  -

まだ成長期の当歳馬の成長板離開だ。

成長阻害したり、成長板が骨癒合する前にプレートは除去したい。

2回に分けて、1枚ずつ。

                  -

麻酔覚醒起立は、head and tail rope だけでなく、胸部分にサポートを着けた。

しかし、後躯が上がっても、両前肢を伸ばさなかった。

手術前、診療室には歩いて入ってきたのだが、手術でまた痛みがぶり返したのだろう。

                  -

手術翌日からは痛みも軽減してきて順調のようだ。

                //////////////////////

君たちは山の中で肢を折ったりしないのかね?

 

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>