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Channel: 馬医者残日録
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朝の疝痛つづく

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またまたまた3日連続で朝に疝痛で呼び出された。

来院したらPCV63%。口粘膜は斑状、不潔感。

「こうなると手術してもダメな率の方が高いですよ」

でも、やってみることになった。

結腸の状態は意外にひどくなかった。

前夜からの疝痛だったのだが、絞扼のされかたのわずかな差なのだろう。

浮腫はひどいが、結腸骨盤曲の切開部でも粘膜の色調はひどくはなかった。

しかし、小腸がどこかに入り込んでいた。

引っ張り出していくと、腹腔の右奥・・・網嚢孔だ。

それほど苦労せずに引き出せたが、引き出した小腸は赤くなっていた。

          ー

予定していた陰睾の去勢を遅らせて始めた。

鼠径部陰睾だったので、静脈麻酔で覚醒室でできた。

ただ、覚醒はひどく悪かった。

          ー

午後、遠方からの2歳馬の跛行診断。

子馬のときから肢軸がよくなくて、獣医科大学へもらわれたのだそうだ。

乗馬調教しようとしたら跛行するようになった。

腕節は傾いていて、両前球節遠位はひどく内反していた。

後ろは外へ振り出すswing out 速歩。

大学へ連れて行ったが「なんともないね」と言われたそうだ。

大腿骨内顆の骨嚢胞?と思ったが、大腿骨に異常なし。

飛節を撮影したら遠位足根関節の骨関節症だった。左右。

どうしてそうなったのかはわからない。

両前球節にも慢性の滑膜炎を抱えている所見があった。

「運動負荷するには向かない馬です」と言ったが、それでも飼い続けてもらえるそう。

幸せな馬だ。

           ー

そのあと5歳馬の去勢。

屈腱炎で競走引退した。

今後は育成牧場で騎乗者ようの練習馬になる。

従業員確保と教育のために必要とのこと。

On the job training どの職種でも大切なことだ。

               -

朝の疝痛馬は、夜には死んでしまった。

結腸も小腸もひどい状態だった。

         ////////////

パラリンピックでの選手の活躍には勇気をもらえる。

目が見えないのに泳げるか、走れるか、そもそも運動しようとするか?

腕や脚を失って、それでも残った体を鍛え上げようと毎日を続けられるか。

進行性の病気を抱えながら、競技に意欲を持ち続けられるか。

 

 

 


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