朝、疝痛の繁殖雌馬が来ると言う。
来院して、超音波で著変なし、血液検査で著変なし。
私が直腸検査すると、膀胱がひどく膨満している。
尿カテを入れてもらったら、膀胱が縮み腹腔をゆっくり触れるようになった。
すると右下奥で塊状に絡んだものに触れた。
触ると明らかに痛い。
その部分を超音波であらためて見ると、肥厚した小腸と肥厚した腸壁が見えた。
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術部を毛刈したら開腹手術の痕があった。
電話で牧場に確認してもらうと3-4年前に開腹手術を受けている、とのこと。
開腹したら癒着でできた索状物に小腸が絡んだことによる小腸閉塞だった。
索状物は腹腔内で鋏で切った。
幸い、小腸は血行障害で白っぽくなり、肥厚していたが、回復が期待できそうだった。
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昼は腐骨の摘出手術。
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後は、飛節OCDの関節鏡手術。
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続いて、繁殖雌馬のフレグモーネと関節炎。
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午前中の疝痛馬は退院していった。
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午後2時半から疝痛をしている当歳馬が5時に来院。
超音波で完全膨満した小腸が見えて、開腹。
盲腸から回腸へ至ろうとすると・・・回盲部がへこんでいた。
回盲部重積だ・・・・
いや、盲腸の中に長い塊を触る。
回腸盲腸接合部が入り込んでいるだけではなく、数十センチ以上回腸が盲腸へ入り込んだ回腸盲腸重積だ。
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ひっぱると少しずつ回腸が抜けて来た。
そして全部抜けた。
30cmほど入り込んでいたようだ。
それが抜けるのは珍しい。
抜けて来た回腸は浮腫性に肥厚し、腸間膜付着部は膠様浸潤があったり出血していたりするが、見ているうちに色調は良くなった。
指ではじくと収縮する。
これなら回復が期待できる。
もし切除するなら、回腸をすべて切除し、空腸を盲腸へつなぎ、腸間膜を縫合するおおがかりな手術になる。
切除せずに小腸を盲腸へ吻合するにしても、回腸が傷んでいるのでかなり上位を盲腸へ吻合しなければならず不安が残る。
リスクを考え合わせ、回腸を温存することにした。
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翌朝、子馬は排便もし、少しだが水も飲み、食欲もあり、退院していった。
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年末、開腹手術が続いている。
予定していた手術もやり残して仕事納め。
少しは大掃除もしないと・・・・