夕方、当歳馬の疝痛の依頼。
午後2時半から放牧地で転がっていて、フルニキシンを投与したが痛い。
しかし、それほど激しく痛いわけでもない。
超音波で小腸が膨満しているのが見えた、とのこと。
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来院したら立ってはいられる。
少し前掻きする程度。
PCV39%、乳酸値1.6mmol/l。
超音波で・・・完全膨満した小腸が見える。
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開腹して、盲腸から回腸を引っ張りだし、上位(吻側;orad )へと辿る。
空腸の中位に乾燥した流れにくそうな内容があり、その上位には液状の内容が増え、
さらに上位は引っ張り出せなくなった。
腹腔内には膨満した小腸のループがある。
そのループを引っ張り出して、回転させると、なんとなく解けて引っ張り出せなかった空腸も腹腔外へ出すことができた。
内容を推送して、盲腸へ送り込む。
空腸の最上位は点状出血し、腸間膜の付着部には膠様浸潤があり、全体にオレンジ色をしていたが、蠕動もあり、十分回復するだろう状態だった。
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空腸上位での纏絡は珍しい。
小腸捻転のほとんどは回腸か空腸下位で起こる。
空腸は、その名の通り、内容が溜まっていることは少ない。
いつも一生懸命動いて内容をどんどん送り、膨満しない状態を保とうとしているのだろう。
しかし、送りにくい物が入ってしまったり、
回虫が居たり、
異常に食べ過ぎたりすると、ループ状になり、絡んでしまうのだろう。
回腸や空腸下位に捻転が多い理由のほとんどは、盲腸への流れ込みは間欠的で、
回腸や空腸下位は膨満することが多いから、ではないだろうか。
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葉状条虫は、回盲部を狭窄させ回腸から盲腸への流れ込みを阻害する。
葉状条虫は小腸捻転の要因にもなるのかもしれない。
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朝、入院馬は状態良好。
飲水し、排便し、食欲があり、心拍は速くなく、蠕動もある。
血液検査して、数値も良好。
投薬して、午前中にでも帰ってもらう予定にする。
相棒といつもより遅い散歩。