騎乗運動中の喉頭内視鏡検査 Over Ground dynamic Endoscopy が可能になって、以前は想像もつかなかった上部気道の問題がみつかるようになっている。
これと同じだろうと思われる症例を相談されて手術したことがあるのでとても興味深い。
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Diagnosis and Treatment of Dynamic Collapse of the Cricotracheal Ligament in Thoroughbred Racehorses
サラブレッド競走馬における輪状気管靭帯の動的虚脱の診断と治療
Padraig G.Kelly, Patrick J.Pollock
Veterinary Surgery 44 (2015) 162-167
目的:(1)ある馬群での輪状気管靭帯の動的虚脱の診断と、(2)障害がある馬の治療と結果、について記載すること。
研究のデザイン:回顧的症例集。
動物:サラブレッド(n=8)。
方法:600頭のover ground dynamic endoscopic examinationを行ったうち、8頭のサラブレッドが輪状気管虚脱 cricotracheal collapse (CTLC)を示した;5頭は2歳馬で調教の初期段階であり、2頭は仕上がった競走馬であった。
CTLCは、輪状気管靭帯の一周する虚脱が運動中に確認されたときに診断した。
7頭は内視鏡検査を繰り返した。
2頭は保存的管理に反応せず、外科的に治療した。
結果:5頭の2歳馬すべてでCTLCと合わせて複数の上部気道の異常が確認され、上部気道の炎症の治療後にCTLCは改善した。
2頭の現役競走馬では併発する呼吸器の異常はなかった。
この2頭では輪状気管腔の外科的縫縮と輪状気管靭帯の重複処置によりCTLCの臨床症状は改善された。
結論:CTLCはサラブレッド競走馬でのまれな動的閉塞の原因である。
調教への適応と呼吸器の炎症の解決により治癒するかもしれない。しかし、CTLCが持続する馬では輪状気管腔の外科的縫縮と輪状気管靭帯の重複処置により臨床症状が治療できる。
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これがCTLCを示す馬のOver-Ground Endoscopy からの静止画。
素晴らしい。
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私が経験した症例についてCornell大学教授で馬の上部気道の権威Dr.Ducharmeに、
「あの症例はCTLCも起こしていたのではないでしょうか?」
と質問した。
回答は、I don't think so. だった;笑。
う~ん、なかなか難しい・・・・
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リフティングの方が簡単サ!!