繁殖雌馬が、角膜炎を起こし、嚥下障害もあって診察した。
顔つきをよく観ると、右顔面の麻痺があり、上唇も右側がすこし下がっていた。
この症状から疑ったのは・・・・側頭骨舌骨関節症。
x線撮影を行うが、舌骨には骨折も腫大部もない。
側頭骨にも異常は見当たらない。
喉嚢に内視鏡を挿入したが、やはり茎状舌骨に肥厚はないし、側頭骨舌骨関節部の腫大もない。
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容貌をよく観ると、側頭骨舌骨関節症による脳神経障害では麻痺は片側に現れるのに、この馬は左耳が垂れている。
片側の脳神経の障害ではなく、もっと中枢に障害が起きているのかもしれない。
脳梗塞か・・・あるいは脳腫瘍か・・・・
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それから数ヶ月、嚥下障害で痩せて、ふらついて立てないことも数度あり、安楽殺された。
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Clik here to view.右の噛筋はすっかり萎縮してしまっていた。
喉を見るが異常なし。
喉嚢を見るが、舌骨にも異常なし。
頭蓋骨を開けてみるが、大脳小脳ほかにとくに異常はなさそうで、脳を頭蓋骨から取り出したら・・・・
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Clik here to view.脳底部に大きな塊があった。
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Clik here to view.視神経交差と脳下垂体がはまっている孔の右脇で脳神経が出て行く孔から膨らんでいるようだ。
なんていう孔だっけ??
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Clik here to view.取り出した腫瘍塊はかなりの大きさ。
物も満足に食べられず、頭も痛く、辛い数ヶ月だっただろう。
CTがあれば診断できたかもしれないが・・・・・
いずれ馬でも脳手術も可能になるのだろうか・・・・
しかし、脳とは直接はつながっていないが脳神経を取り巻くように増殖しているので完全摘出するのは厳しそうだ。
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ひとり大物がいるな;笑
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