夜中に膣裂創を縫合した4日後、具合が悪くなって戻って来た。
しばらくは食欲もあったそうだが、発熱し食欲もなくなり、前日には胃液が20リットルも逆流した。
腹膜炎か~
分娩中に腸管脱出した馬だから、羊水がかなり腹腔へ入ったのかもしれない。
膣裂創も水も漏れないようには縫えていない。
手探りで縫うのがせいぜいだった。
分娩後の傷だらけ、雑菌だらけの産道から腹腔へ感染が及んでも不思議ではない。
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しかし、腹膜炎を起こしてもはっきりした腸閉塞症状を示すことは少ない。
疝痛も示した。なぜだ?
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枠場に入れて、今度は尾椎硬膜外麻酔してもらって、膣の裂創を縫い直した。
今度は膣鏡で広げておいて、目視下で長柄の持針器で縫合することができた。
私はコロナ・ワクチンの副作用で肩、肘、股関節が痛い。
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超音波では、腹水の貯留と小腸の膨満が確認された。
PCV55%、WBC16000、けっこう厳しい状態だ。
どうするか飼主さんと相談し、「やってみる」ということにした。
私はコロナ・ワクチンの副作用で倦怠感が・・・
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で
腸間膜が破れたことで血行を失った空腸の一部が壊死していた。
もう完全に変色し、破裂寸前だった。
大網が塊状になり張り付いていた。
切断し、内容を捨て、壊死した腸管を切除し、健常部で吻合した。
腸管全体の蠕動はよろしくない。
膿のような腹水を吸引し、生理食塩液を腹腔へ入れて吸引する、を繰り返した。
コロナ・ワクチンの副作用で腰が痛いので、身を捩りながら・・・
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子馬が子宮の中から腸間膜を蹴り破った可能性もある。
しかし、分娩時に腸管脱しているので、脱出したときに引っ張られて腸間膜が切れたか、
あるいは脱出した腸管を押し込むときに腸間膜が破れた、と考える方が自然だろう。
遅い昼食を摂りに家へ帰って体温を測ったら37.2だった。
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こちらへ来たときには腸管は腹腔へ戻っていたので腸管や腸間膜の状態を確かめることはできなかった。
やるとすればそのまま開腹手術することだが・・・まだ腹膜炎症状はなかったので、開腹手術は必要ない可能性もあった。
押し戻すときに、腸管の状態を観ることなのだろうが、あわててるのだろうし、暗い厩舎の中では難しいのかもしれない。
夕方、悪寒がするのでさっさと家に帰った。
なるほど風邪の引き始めの症状はこういうことなんだな。
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術後経過は順調で、翌日退院していった。
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ときどき口粘膜が白くなり、元気がなくなる。
以前より手を舐めてくれる。
匂いを残そうとしているのか、何かを求めているのか・・・