分娩による直腸穿孔で、腹腔内に直腸便による汚染もあり、開腹手術もした繁殖牝馬。
私は手術の翌日の夜が当番で、次の朝、持続点滴の管理と抗生剤の投与をした。
凶暴な馬で、採血をするのもたいへんとのことで、持続点滴の三方活栓を利用してエンロフロキサシンを投与した。
それだと痛くないので、馬は暴れないだろうから。
そのあと腹腔洗浄もした。
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その朝は、もう一頭重症馬が入院していた。
子宮穿孔による腹膜炎で開腹手術した馬で、どういうわけかひどい筋変性を起こしてしまい、前日は起立不能だった。
その朝はなんとか起立できるようになり、その馬も腹腔洗浄しなければならなかった。
その馬を診ていると・・・・あっちの馬房が騒がしい。
観に行ったら直腸穿孔の馬が倒れて痙攣していた。
「これはダメかも・・・・」
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しかし、その馬はしばらくすると立ち上がった。
特にそういった発作の履歴もない。
エンロフロキサシンによるショックと痙攣、くらいしか思い当たることはない。
ニューキノロン系抗生物質の投与で痙攣が起こることがあることは知られている。
NSAIDsにより増強されるとされている。
この馬は前日の夕方にフルニキシンを投与されていた。
エンロフロキサシンは、他の抗生剤で効果が得られないときに使うことが多いので、解熱鎮痛消炎剤と併用することはざらにあるだろう。
バイトリルの添付文書にも、「相互作用」として「まれに痙攣が発現する」と記載されている。
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日高獣医師会の講習会をオンラインで視聴した。
BTCは浦河の奥にある育成馬調教施設で、主に1歳後半から2歳になって競馬場へ行くまでの馬がトレーニングされている。
若い、あるいは幼いサラブレッドたちを競走馬としてデヴューさせる難しく、かつ重要な期間である。
ほかの多くの育成牧場でも行われていることなのだが、BTCは規模が大きく、専属の獣医さんがいる。
BTCで調教を受ける馬にどのように故障がおき、どのような診療を受けているかは、育成馬を診る獣医師にとても勉強になる。
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今回のオンライン講習会では、
BTCでどのような診療が行われているか。
育成馬に見られる骨折。
中手骨掌側近位部の障害。
そして、跛行診断のための診断麻酔のHow to.
をBTCの先生がたから学ぶことができる。
いずれも学術的にも素晴らしい内容だった。
教育的にも良くできているので、ぜひ多くの獣医師に視聴していただきたい。
生産地の獣医師にも、
競馬場の獣医師にも、
乗馬の獣医師にも、
これから馬の獣医師を目指す獣医科学生にも、
彼らを教育する獣医学科の教員にも、
役に立つと思う。
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https://39live.jp/e0217
にアクセスして、
所属、氏名を入力後
ID:eisei01
PW:0301
で視聴できる。