種付けでペニスが直腸に入ってしまい、直腸に穴があいてしまった、との連絡。
午後1時半頃の事故で、来院したのが午後4時だった。
直腸に手を入れてみると、手が入るほどの穴が直腸の背中側に開いていて、その周りが糞便でザラザラしている。
「予後は悪いですよ。やるだけやってみてくれということならやってみますけど・・・」
と説明したら、「やってみて欲しい」とのこと。
ー
尾椎硬膜外麻酔して、肛門括約筋を浸潤麻酔して12時方向で切開した。
直腸の背中側が10cmほど裂けているのが見える。
長柄の持針器で0 monocryl で縫合した。
ー
腹腔内も汚染しているので、開腹しての腹腔洗浄もしなければならない。
手術後、直腸を通過する便を減らすためにも結腸切開した方が良い。
引き出された大結腸の表面の炎症はひどくはない。
わずかに赤く、わずかに血管が充血している程度。
骨盤腔には糞塊があった。
できるだけ掻き出して、あとは生理食塩液を入れてチューブで洗い出すことを繰り返す。
サイホン式で流すと崩れた糞便が流れ出る。
吸引した液にも植物繊維が浮く。
目で見える汚れがなくなるまで50リットルほどで洗浄を繰り返した。
腹腔にはドレインを留置した。
ー
翌日、馬は平熱で、ひどい白血球減少はなかった。
夕方、退院し、翌日からは牧場で抗生剤全身投与、腹腔ドレナージと洗浄、抗生剤腹腔内投与を続けてもらう。
第5病日、再来院してもらった。
平熱、しかし腹水の白血球数は39,000。
直腸に手を入れると、縫合部はわかるがしっかりしている。
直腸周りは狭く感じる。
絶食中だが、柔らかい便が少量出ているそうだ。
少しずつ、食べさせ始めてもらうことにした。
第5病日の腹水の培養は陰性だった。
//////////
ロシアという国は民主国家だったことはない。
日露戦争で日本が戦ったのは帝政ロシアだ。
皇帝の農民の扱いはひどかった。
やがて革命が起き、社会主義国家となったが、それはたちまち独裁国家と圧政にすりかわった。
ソビエト連邦が崩壊し、自由主義国家になったように思えたが、プーチンの独裁国家になった。
20年も支配者で居続けると、周りにはイエスマンしかいなくなり、自分で自分をコントロールできなくなるのだろう。
ロシア国民も気の毒ではある。
しかし、自分たちの国だ。
その人それぞれの責任?がある、というのは酷か・・・・