休み明け、出勤したら膀胱破裂の繁殖雌馬は退院していた。
尿道カテーテルがよくはたらいて、状態が良いので来院の翌日に退院させた、とのこと。
そして、第3病日に自然分娩し、子馬は大丈夫。
ただ、母馬は具合が良くないので、昼に再来院する、とのこと。
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無事に分娩したなら、あとは膀胱を修復すること、そして腹膜炎と腹腔尿症をコントロールすることだ。
自然分娩すると多少なりとも膣が傷つき、そこには感染が起こる。
雌馬の尿道は短いので、上行性に膀胱へ感染しやすい。
まして、尿道カテーテルを入れていたらなおさらだ。
そして膀胱が破裂していたら容易に腹膜炎が起こる。
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Equine Veterinary Education に、成馬の膀胱破裂を尿道カテーテルを入れておいたら4例で自然治癒した、との報告が出ている、とのこと。
しかし、読んでみたら著者たちも、
「もっと症例を重ねないと、保存療法を膀胱破裂の治療として受け入れられるかどうかわからない」
と書いている。
尿道カテーテルを入れることで膀胱が自然治癒するには2週間かかるようだ。
私の今までの症例経験では、腹膜炎も尿毒症も、もっと早く悪化し致命的になる。
重症化してから外科処置をするくらいなら、早くに外科的修復すべきだろう。
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今回の症例で問題なのは、破裂部位が腹側で尾側によっていることだ。
しかし、その部位でも膣底切開して膀胱を膣内に逸脱させる方法で外科的修復が可能であることが、
かつてEquine Veterinary Educationに報告されている。報告者は、Dr.Hig;笑
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やってみようと思っていたのは、尿道から長柄の持針器を挿入し、膀胱内で破裂を修復すること。
しかし、内視鏡を入れても、最初に来院したときのようには破裂孔の辺縁は見えなかった。
縫合針を膀胱内に入れて操作するのも難しいし、膀胱は内側から縫合するより外から内反させて縫合するのが望ましい。
すぐに、膣底を切開する方法をやることにした。
分娩による膣の損傷は軽度だった。
これなら創傷部で増殖している病原菌を腹腔内へ持ち込むリスクは高くない。
特殊な開創器で膣を広げ、
膣底を切開し、
膀胱を膣内へ逸脱させ、
長柄の持針器で膀胱の破裂部位をモノフィラメント吸収糸で縫合修復した。
破裂部位が背側や膀胱尖ではないので、縫合はやや難しかった。
縫合後の膀胱内。
尿が貯留し始めている。
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抗生剤投与と尿道カテーテル留置を続けてもらう。
尿道カテーテルは、詰まるし、汚れるし、抜けるし、トラブルなしとは行かなかった。
1週間で抜いてもらった。
母馬の状態は良いそうだ。
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ユーミンの旦那さんとしても有名で、優れた音楽プロデューサーであり、アレンジャーである松任谷正隆さんのエッセイ。
いくつかの連載を抱えるエッセイストでもある。
タイトルは、なんだ?と思ったけど、「僕たちはどう生きるか?」のパロディなんだろう。
もう70歳の氏なので、「おじさん」じゃないと思うけど。
育ちが良くて、音楽の才能に恵まれていて、ルックスが良くて、優しくて、穏やかな良い人なんだろうな、と思う。
いただき物のロブスターを流しで自由にしてやったら、とても煮たりできなくなって、東京湾に放してやった話しなどはその人となりがあわれていて面白おかしい。
愛犬を亡くす話は身につまされた。
一気読みするのではなく、ひとつずつ、ときどき読むのが正しいショートエッセイ集だ。