妊娠末期の膀胱破裂
分娩予定日の繁殖雌馬が、朝から震えている、とのことで夜になって来院。 超音波検査で腹水があるようだが、なにせ妊娠子宮が大きくて腹水の量を把握しにくいし、腹腔穿刺しても子宮に刺さってしまいそう。 はっきりした疝痛症状はないが、食欲がない。 直腸検査すると、胎児は骨盤腔まで迫っていて、あまり動きがない。 しかし、子宮捻転はなさそう。 膣に手を入れると、子宮頚管はやや緩んできている、とのこと。...
View Article妊娠末期の膀胱破裂 その2
休み明け、出勤したら膀胱破裂の繁殖雌馬は退院していた。 尿道カテーテルがよくはたらいて、状態が良いので来院の翌日に退院させた、とのこと。 そして、第3病日に自然分娩し、子馬は大丈夫。 ただ、母馬は具合が良くないので、昼に再来院する、とのこと。 - 無事に分娩したなら、あとは膀胱を修復すること、そして腹膜炎と腹腔尿症をコントロールすることだ。...
View Article分娩前後の盲腸便秘
分娩前後の疝痛のひとつに盲腸便秘がある。 妊娠末期の妊娠子宮に圧迫されて動きにくいとか、結腸へ内容を送り出しにくいとか、 重労働である分娩の負担とか、 分娩後の飼養管理の急激な変化(数日放牧しなくなる、急にエサを増やす、急にエサを変える) などが要因なのだろうと思う。 ー 盲腸便秘はひどい疝痛を起こさないし、 直腸検査で便秘塊を触りにくいので診断しづらい。 便秘か?...
View Article4月の土曜日の昼と夜 盲腸便秘、尿膜管膿瘍、馬と牛の帝王切開、結腸左背側変位での結腸切除
この春は事故が少ない・・・・それは間違いないんだけど・・ ー 土曜日、午前中は2歳馬の飛節OCD関節鏡手術。 後膝をぶつけて血腫になり跛行している2歳馬の診察と処置。 当歳馬の細菌性関節炎の再来院。 2歳馬の舌裂傷。チフニーをつけたまま放馬してしまったらしい。 分娩前からもう2週間はらいたしている繁殖牝馬。...
View Articlemiscellaneous いろいろさまざま、そして夜
ひどい腹の膨らみ。 こいつは結腸捻転だった。 腹の膨らみ方で結腸捻転か、小腸閉塞か見当がつくことが多い。 馬が痛がって転がっているときによく観察してみたらどうだろう。 ー 二つの大学で講義を頼まれているので準備している。 呼吸器、消化器、運動器、泌尿器(ヴォリュームからいくと泌尿生殖器だろうね)という臓器別に話すのは初めて。...
View Article子馬の食道弛緩症
生まれて1ヶ月の子馬が、生後から乳が鼻から出てくる、との相談だった。 軟口蓋裂を疑う必要があるので来院してもらって内視鏡検査。 しかし、軟口蓋は大丈夫。 食道に内視鏡を入れると、食道が弛緩し、乳が食道内に溜まっている。 頚部と胸部で食道を追うようにX線撮影してみた。 食道は内容がないと、X線画像には腔としては写らないのだが、ところどころ液が溜まっているのが写る。 ・・・・右の大動脈弓の遺残か??...
View Article縫合した舌裂傷の治り方
3週間ほど前に、舌裂傷を縫合した2歳馬。 飛節にOCDが見つかり、関節鏡手術に来院した。 手術台に乗せてから、 ステントを使った縫合をしたし、抜糸の必要があるかと舌を引っ張り出して観察した。 背側は裂けていたところがへこんでいる。 上皮が欠損している部分もある。 しかし、全体には良好。 とても奥で切れていて、縫いづらかった症例。 忙しい日で、ほとんど私ひとりで対応した。...
View Article2歳馬の第一趾骨骨折のscrew固定で考えたこと
2歳馬の調教もスピードが上がっている。 速めの調教をした馬が、厩舎に帰ってから強い跛行を示し、X線撮影で後ろ肢の基節骨(第一趾骨)が確認された、との連絡。 午後も別な手術の予定が入っている・・・・・ 「4時に連れて来るよう言って」 ー 第一指/趾骨の骨折は、骨体のほとんどが割れたり、骨折線があちこちに伸びていると、危ない。 screw4本で内固定した。...
View ArticleRhodococcus equiによる子馬の疝痛
2月はじめ生まれの子馬(2.5ヶ月齢)が、2日前から発熱し、きのうからは疝痛を示している、と夕方の相談。 発熱に対応して、腸炎を起こすことがある抗生剤を投与し始めていたので、「腸炎?」と訊いたが、 「超音波で、腸炎を疑う所見はない」、とのこと。 そして、「右腹部で血腫様の塊が見える」。 内科的に対応すべき症例ではないか、ということで様子を観てもらうことになった。 ー...
View Article子馬の細菌性心嚢炎
子馬はいろいろな部位に感染を起こしやすい。 臍とその周辺(臍静脈、臍動脈、尿膜管)、肺、腸、関節、骨(骨髄、成長板)、リンパ節、筋肉、脳脊髄腔、etc. ありとあらゆる部位が細菌にやられることがある、と言っていい。 (意外に、腱鞘とか心内膜の感染は新生子馬では少ないのはなぜだろう?) - 空気の入り口(肺)、飲み物食べ物が通るところ(腸)は外界からの感染にさらされる。...
View Article子馬の細菌性心嚢炎 剖検
剖検写真が出てきます。 見たくない方は閲覧ご遠慮ください。 心臓を包む心嚢全体が大きくなっていた。 肺は大理石模様。 心嚢の中はまだたっぷり液が残っていた。 前日に、抜けるだけは抜いたつもりだったのだが、フィブリンが邪魔をするのだろう。 心臓の表面(心膜)はフィブリンで覆われていた。 この子馬は敗血症なのだろうが、原発感染巣がどこなのかわからなかった。 臍周辺に感染の所見はなかった。...
View Article子馬の細菌性心嚢炎 成書から
心嚢炎について、教科書にはなんと書いてあるか・・・ Equine Internal Medicine 3rd ed. PERICARDIAL DISEASE 英語では”心膜の病気”ということになる。 「心嚢」という心臓を包む袋、という日本語の概念と、 心臓表面の膜、それは袋状になってるけどね、という英語での概念と表現はずれている。 -...
View Article夜の乗馬の疝痛開腹に、深夜から早朝の難産、2頭
夕方、17歳乗馬の疝痛の依頼。 血液所見は悪くないし、超音波検査でも異常は認めなかったが、私が直腸検査したら膨満した小腸に触れた。 馬はまだ痛がっている。 開けたほうが良いです。 - 開腹したらひどく張った小腸がいっぱい。 邪魔になって盲腸から回腸へたどれない。 小腸を何箇所かガス抜きする。 奥のほうで小腸がどこかへギュッと入り込んでいるのに触れた。 助手に入ってもらう。...
View Article18歳 有茎脂肪腫による空腸纏絡
朝、飛節OCDの関節鏡手術の予定だったが疝痛馬が来るので予定変更。 繁殖牝馬の結腸捻転だった。 小腸まで張っていたので、私も手洗いして助手を務めた。 ー その間に細菌性関節炎の子馬が来て、 ー 続いて、分娩後の繁殖牝馬の不調。 腹腔内に血液があり、発熱していて、ショック状態。 心拍は100以上あり、口粘膜は白い。...
View Article4月の土曜日の昼と夜 盲腸便秘、尿膜管膿瘍、馬と牛の帝王切開、結腸左背側変位での結腸切除
この春は事故が少ない・・・・それは間違いないんだけど・・ ー 土曜日、午前中は2歳馬の飛節OCD関節鏡手術。 後膝をぶつけて血腫になり跛行している2歳馬の診察と処置。 当歳馬の細菌性関節炎の再来院。 2歳馬の舌裂傷。チフニーをつけたまま放馬してしまったらしい。 分娩前からもう2週間はらいたしている繁殖牝馬。...
View Articleミステリアム
ゴールデンを亡くした飼い主は何を読めばいいのか・・・ ミステリアム (ハーパーBOOKS) ディーン クーンツ ハーパーコリンズ・ジャパン あのウォッチャーズのミステリー作家クーンツの新作。 時代設定もだいぶ新しくなっている。 荒唐無稽とは言え、科学的な記述もちょっと新しさがある。 リアリティーが、というところまでは行かないけど。 -...
View Article新生子馬の不眠症 insomnia
生まれて翌日の子馬が新生仔不適応症候群 Neonatal Malajustment Syndrome で入院していた。 一時、ちゃんと親から飲乳していたのが、母馬のところへ行かなくなってしまった、とのこと。 新生仔不適応症候群には、 寝たきり Dummy foal 馬とは思えないような声で吠える Barker 歩き回る Wanderer (wonderer...
View Article食べ過ぎ疝痛警報発令中!
夕方、結腸捻転。 術前のPCVは44だったが、開腹したときの結腸の色調はひどく、ダメかと思った。 しかし、内容を捨てて、整復したら色調も良くなった。 ー 深夜になって、夕方から疝痛している繁殖牝馬が来院。 ひどい疝痛ではない。 胃拡張だった。 青草の食べ過ぎなんだろう。 帰って様子を観てもらうことにする。 ー 前夜に手術した結腸捻転馬は状態が悪くなった。...
View Articleトラックの中で牛の帝王切開
午前中、競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。 牛の帝王切開も来るという。 牛は来院したらトラックの中で立てない。 初産の黒毛和牛で、牧場でひっぱってみたけど産道が開かず狭く、出そうにない、とのこと。 仕方がないので、トラックの中で帝王切開することに。 - 好い天気でトラックの中も明るくて良かった。 子牛も生きていた。...
View Article結腸捻転3頭
食べ過ぎ疝痛警報を発令して、2日間は疝痛の来院はなかった。 警報発令が効いたんじゃないの?なんて話していたのだが・・・・ 朝、繁殖牝馬の疝痛の来院。 5時に発見して、7時に獣医さんが診て、9時半に来院した。 PCV51%。 開腹したら結腸の色調はけっこうひどい。 結腸骨盤曲を切開して、腸内容を捨てて、結腸全体の色調は回復した。 しかし、粘膜の色調は悪い。 結腸動脈の拍動も弱い。...
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